TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

2019年ノーベル化学賞に寄せて偶感

  今年のノーベル化学賞が決まった。対象研究はリチュウム電池の開発だ。リチュウム電池は繰り返して充電して使える二次電池だ。ニッケル・カドミウム(ニカド)電池に代わって1990年代の半ばからCDプレイヤーやノートパソコンなどに利用されるようになった。従来の充電池は使い切ってから充電する方式だったが、リチュウム電池は完全放電するまえに充電するのが鉄則と聞いた。スマホの電池もリチュウム電池なのでこまめに充電して使用している。急速に普及してきた電気自動車もリチュウム電池を使用しているので益々需要が増してくるだろう。
 今回のノーベル化学賞に決まったのは、日本人の吉野 彰さん(旭化成名誉フェロー、71歳)、ドイツ生まれのジョン・グッドナイフ教授(米国 テキサス大学、97歳)、英国生まれのスタンリー・ウィッティンガム特別教授(ニューヨーク州立大学、77歳)の三名だ。電池は、プラス(正)とマイナス(負)の電極の間で電気が流れることで電気をためたり放出したりする。リチュウムは最も軽い金属で電気を生み出す反応を起こしやすく原子の粒が小さく高出力で小型な電極に利用できた。1970年代にウィッティンガムさんがリチュウムを電極に使う二次電池を初めて作ったが発火や爆発の危険があった。当時は英国オックスフォード大教授だったグッドナイフさんがリチュウムイオンを含んだ参加化合物を正極にすると電圧を高くできることを見出したが爆発の危険は残ったままだった。この爆発の危険を解決したのが日本人の吉野さんだった。吉野さんは負極に炭素材料を使う方法を開発して1985年に特許を出願した。これで安全性が高まり現在のリチュウム電池の原型ができた。以上の受賞理由を概観すると、科学研究が早期に有機的に連携してリチュウム電池という画期的な製品が出来上がったことが分かる。今使っているのノートパソコンもスマホもリチュウム電池のお陰と痛感した。

 さて、ノーベル賞受賞者は生存者に限られている。今回の受賞者のお一人のグッドナイフさんは97歳だ。閑話休題。日本人の女性作家の瀬戸内寂聴さんは現在97歳でグッドナイフさんと同年齢だ。瀬戸内さんの連載エッセーを毎回おもしろく読んでいる。お迎えにくるのを毎日待っているような書き方だ。もやはや生きることを突き抜けてしまったようだ。「源氏物語」の藤原定家による写本の原本が発見されたことを、瀬戸内さんのエッセイで知った。「人生は短いが科学も芸術も永い」と言える。ともあれグッドナイフさん生きていてよかったね。そして吉野さんはサリーマン研究者だが、これもこれでめでたいことに思えた。