TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

「朝日歌壇」を読んで!

 「歌が好きだが、歌が作れない。」
これが情けなくも僕の姿なのだが、ずっと歌詠みにはあこがれて来た。

 「牛飼いが歌読む時に世の中の新しき歌大いに起こる」(伊東左千夫)
この歌はたぶん中学か高校の国語の教科書にのっていたのだと思う。歌人の伊東は「牛飼」でもあったのだ。農家育ちで牛を飼っていたことのある少年の僕は百姓も歌を作っていいんだと思った記憶がある。

 今日の「歌壇」は佐々木幸綱、高野公彦、永田和宏、馬場あき子の四人の選者が各々10首ずつを選んでいる。
 「人間であるより公務員だった豪雨にホームレスを拒みて(水戸市 中原千絵子)」を永田さんがトップに選んでいた。この間の台風19号の際に実際に起きた事件を詠んだものだ。
 「賞味期限間近の品を買ってくる我によく似た娘となりぬ (鎌倉市 小倉昭夫)」
これもわかりやすい庶民の歌詠みだ。こんな簡単なようで詠めないんだなあ。

 今日の「歌壇」の直下に「うたをよむ 若者の自死と歌」というコラムを歌人の佐古良男さんが書いている。二人とも自死した岸上大作さんと萩原慎一郎さんの歌を紹介して次のように書いていた。
 「わたしには同じく短歌を愛する者として残念なことがある。それは、短歌という器が彼らにとって、死を思いとどまらせるだけの救いにならなかったことだ。・・・・自己鎮魂の文学として、短歌以上のものはないと確信する者にとっては、こんな悲しいことはないのである。」

  「我もまた 詠んでみたしと 老いてなお 手習いありか 鎮魂の詩」
                              (2019.11.10)