TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

「日録」を書く!

 先日から、梯久美子さんの「狂うひと」を読んでいる。まだ、「第一章 戦時下の恋」まできたところだ。途中だが印象深い記述を引用しながら書いておきたい。

 <島尾は物語を構築することに興味のない作家だった。筋のある文章は彼にとってはひどく退屈なもので、「ただ機械のように記述していたい」と考え、「目の前を過ぎて行くものを目のまえでとらえて記録すること」をめざした(昭和42年講談社刊『われらの文学 第八巻』所収「どうして小説をわたしは書くか―私の文学」)>

 成程こういう書き方の作家もあるのだと感じ入った。梯さんは次のようにも書いている。
 <島尾は『死の棘』に描かれた時期の、自殺や心中を何度も考えた修羅の日々にあっても、欠かさず日記をつけていた。それほど記録することに執着していたといえる。通常の日記とは別に夢日記をもつけており、『夢の中での日常』を始めとする「ゆめの系列」と呼ばれる先品群も実際に見た夢の記録をもとに書かれている。さらにもう一種類、ミホに隠れて別の日記を書いていたらしい(裏日記とでもいうべきこの日記のことはのちの章で触れる)。>

 島尾敏雄という作家は日記を毎日毎日書き続け、それを元に何年もかけて自らの傷口をえぐり出すように「死の棘」を書いたのだと知った。こういく書き方も可能なのだとすると回顧録をほじくりだして書いて行くことにももしかしたら何らかの意義が見出せるのかもしれない。いや、意義など見いだせなくてもそれが私の営為と位置ずけるならそれはそれでよいとしよう。
 <付記>飲酒を休止して3日を経過した。もしかしたら島尾敏雄は酒を飲まない人ではなかったろうか?酒を飲んでいたら日記なんか書いている時間はないだろう。