TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

「ピーター・マクミランの詩歌翻遊」を読む!

 「ピーター・マクミランの詩歌翻遊」という記事がときどき朝日新聞(2020年1月15日、朝刊)に載っている。いつもは読み過ごしているのだが興味深いので本日はここで取り上げた。下手をすると著作権違反になるかもしれないが以下に引用して紹介して記憶に留める。

 新(あらた)しき年の初めの初春の今日降る雪のいや頻(し)け吉事(よごと)

 (『万葉集』巻20・4516 大友家持)

 

 On this New Year's Day

 which falls on the first day of spring,

   like  the snow that also falls today,

  may all good things, pile up and up

  without pause or end.....

 

  英訳では、立春と元旦が同じ日に「重なる」ことと、

 雪が「降る」ことを、ともに fall という語で表現し、

 掛詞の感覚を取り入れてみた。また、末尾に「......

   を置くことで「吉事」がいつまでも続く感じを出した。

 

 筆者のマクミランさんはアイルランド出身の詩人で翻訳家だ。昨年末に、『英語で味わう万葉集』を文藝春秋から上梓したという。これは読んでみたい。

 <ここには、雪が降り「敷く」と吉事が「頻く」(絶え間なく起こる)という二つの動詞が重ねられている。これにより、雪はただの瑞祥ではなく、吉事と一体となる。雪がしきりに降り重なることを、そのまま吉事のありさまととして捉えているのだ。>

 「文化や言語に関し、アイルランドと日本には多くの類似点があるように私は感じる。」ともマクミランさんは書いている。

 降りしきる雪の中に、瑞祥を感じとるという日本古来の文化はなんとおくゆかしく厳かであるのだろう。「電車が遅れて、通勤通学が大変なだけだろう」なんて言っていたら日本人に生まれた慶びをかんじとれないと知った。

 【現代語訳】

  <新しい年の初めの正月の今日降るこの雪のように、ますます積み重なれ、良いことが>