TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『死の棘』(島尾敏雄)を読み始めた!

 梯さんの書かれた「死の棘の妻ー島尾ミホ」を漸く読み終えた。先週から単行本『死の棘』(昭和52年、新潮社刊)を読み始めた。この本は、昭和35年~昭和51年まで雑誌に発表された小説(短編)12編を17年の歳月を経て単行本にまとめて刊行されたものだ。「第1章:離脱」と「第2章:死の棘」は、昭和35年4月と9月に講談社の雑誌「群像」に掲載されたものだ。雑誌「群像」はいまでは休刊となって存在しない。昭和35年と言えば私はまだ子供時代だから当然目にしていない。単行本『死の棘』が刊行された昭和52年には私は30歳で医学系出版に勤めていた。著者の島尾敏雄武田泰淳とも親しく、島尾の妻島尾ミホは泰淳さんの妻の武田百合子さんとも親交があった。評論家の奥野健男や詩人の吉本隆明島尾敏雄の友人で理解者であったらしい。まだ若くて文学好きだった私は書評に惹かれて単行本『死の棘』を買い求めたのだろう。爾来、40年以上この本は私の本棚から捨てられることなく、引っ越しの度に移動してきた。ここにきて漸く手に取って読み始めた。

 「純文学」とは何だろう?この本は決して面白い本ではない。まだ幼い二人の子どもを抱えた夫婦の諍いのさまをクドクドと果てしもなく書き連ねるお話を読んで読者は何を思うのだろう。「カテイノジジョウ・・・」と「夫婦げんか」を幼い子どもたちは言っている。映画にもなった島尾ミホの「海辺の生と死」は、特攻隊長と島の娘の切なくも燃える「切ない恋」のようにも思えて読んだ。『死の棘』が同じ登場人物の20数年後のお生きざまであるのは信じられないくらいだ。

 ともあれ、この辛い暗いひとの心の闇をえぐり出すようなも物語を私は読み継ごうとしている。ようやく前半の2章まで読み進めた。読後の感想を書くのは数カ月後になるだろう・・・・。