TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

新型コロナウイルス感染症と「福岡伸一の動的平衡」を読む

 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている。全く、この世の中なにがいつ起こるかも分からない。横浜に停泊している大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で乗客乗員のうち20人から新型コロナウイルス感染が確認されたとの報道がある(2020年2月2日)。最初に確認された感染者10人は下船し、神奈川県内の感染症指定医療機関に入院したらしい。その他の乗客乗員3700人は船内で14日間待機をとなっている。「暇とお金があればクルーズ船でゆったりと世界一周旅行もいいね」なんて呑気に言っていたことがある。どっこいクルーズ船もそう簡単な旅ではないことが明かされた。

 本日の朝日新聞の連載記事「福岡伸一動的平衡」で、福岡さんが「”新型”の病という報復」というタイトルで書いていた。福岡さんの文章と感性がすきなので読むようにしている。このコラムから紹介する。殆ど無断引用になるが福岡さんの本は大抵は購入して読んでいるので無断引用を容赦願いたい。

 「病気の名前の前に”新型”が冠されたときは(喫緊の対策はもちろん重要だが)少し引いた、より広い視点も必要ではないか。思い出されるの、”新型”ヤコブ病の事例である。」と、福岡さんは書きだしている。
 例のクロイツフェルト・ヤコブ病のことだ。ヤコブ病は極めて稀な神経変性疾患で、脳がスポンジのようになり、心身に変調をきたし最終的には死に至る病気である。この奇病は狂牛病に感染した牛肉を食べることによって、ヒトに乗り移ってきた。これが、”新型”ヤコブ病である。人畜共通の感染症ということになる。このことを、福岡さんが分かり易く説明してくれている。
 「牛を早く肥育するために安価な飼料として家畜の死体から作った肉骨粉を食べさせていた。そこにもともとは羊の風土病だったスクレイピー病の病原体が混入していたのだ。それまで、羊のスクレイピー病が病原体がヒトに感染した例はなかった。病原体が牛に移行したあと突然変異を起こし、ヒトに感染しうるタイプに変化したのだった。」

 病原体が、羊―牛―ヒトへと乗り移ってきたのだ。「狂牛病が猖獗を極めた英国では輸血を通して新型ヤコブ病のヒトからヒトへの感染までもが起きた。」
 今回の新型コロナウイルスの起源は、中国では食料にもしている野生の蝙蝠ではないかとの説もでている。
 「”新型”の病気のアウトブレ―クは、人間の愚かな浅知恵に対する自然の報復作用かもしれないのだ。」と福岡さんは結んでいる。