TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

「私のC型ウイルス肝炎物語―附章: C型肝炎治療の経済的側面

 附章: C型ウイルス肝炎治療の経済的側面

    この些か長い私的物語「私のC型ウイルス肝炎物語―ウイルスと共に生きてきた」の開始は、1971年4月1日に、東京都文京区本郷にある医学系出版社I書院に職を得た私が、10年後の1981年に医学・医療系の専門新聞である「医学界新聞」の担当に配属された時期に遡る。その頃から、多くの医学・医療系の学会取材を経験して、医学界新聞という業界新聞に掲載するために記事として纏めた記録を振り返る作業を端緒とした。
「非A非B型肝炎ウイルス」と呼ばれていた肝炎ウイルスが、1981年当時、こちらも未知であったエイズウイルス(HIV)と並行して、「C型肝炎ウイルスHCV)」として新たに姿を現してきた頃であった。

 ■実は「C型肝炎ウイルス」は私の中にいた■

 1998年8月11日、東京医逓信病院で受けた半日人間ドックで、Ⅽ型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性であることが判明した。そのときから、2020年の現在まで、HCVウイルスのとの付き合いが20余年にわたって続くことになった。

毎年の健康診断の結果通知書を、1985年から机のファイルに投げ込んでいた。2013年の退職時にその資料を透明ファイルにいれて自宅に持ち帰った。

今回、「私のC型肝炎物語」をまとめるにあたり、過去の自身の健康診断記録、およびC型肝炎ウイルスへの罹患とその経過観察と治療の日々の記録を改めて参照した。このような医療記録を将来的に作ろうとの意図があったわけではないが、参考資料として役立った。
 これらの資料を、「受診経過記録年表1985~2020」として一覧で添付する(資料-1)。さらに、三回にわたるインターフェロンフリー治療(MSD治験、ハーボニー、マヴィレット)服薬経過記録を最後に添付する(資料-2)。

 ■34年間:1985~2020の医療記録■

 1985年6月28日の定期健診から、2020年2月4日までの受診回数は547回を数える。これにC型肝炎治療以外に、眼科・歯科・皮膚科・糖尿病内科、風邪等のクリニック受診も含まれる。大半はⅭ型肝炎の経過観察及び治療である。年間医療費が10万円を越えた年(2011~2020年)は毎年2月の確定申告の際に医療費還付請求を行った。この際に医療費と薬剤費用を一覧して作成した数字を上記の記録に反映した。その医療費は実費として300万を超えるであろう。

インターフェロンフリーの飲み薬は余りにも高価だ■

 私は三種類のⅭ型肝炎治療薬を各々12週間服用した。最初は、MSD社の治験薬を2015年4月7日~6月30日まで、12週(84日)間服用した。服薬後の経過観察期間も含め、最初の治験は、2015年12月15日に終了した。治験なので交通費用として幾ばくかの支給を受けた。

 上記MSD社の治験に失敗した翌2016年10月12日から2017年1月3日にかけて、ハーボニー配合錠(レジパスビル+ソホスブビル)を12週(84日間)服用した。当初から夢の新薬と称されたハーボニーは、1錠8万171.3円の高価格の薬だ。12週では673万4,389円となる。余りにも高価な薬なので、「偽薬」を販売する詐欺事件が実際に起こり新聞で報道されていた。この時は、国(実際は神奈川県)に医療費補助を申請して認められたので、毎回の受診と処方が1回1万円であった。この間に4回受診したので4万円の費用で673万円の薬を服用できたことになる。
 ハーボニー服薬にも失敗した1年後、2018年3月1日~5月23日までの12週(84日間)、マヴィレット配合錠を服薬した。マヴィレットは1錠2万4210円である。1回に3錠を服用するので1回分は7万2631.2円となる。84日間では、610万1,020円となる。この時も2度目の医療費助成申請が認められたので、4回の受診と処方で合計4万円の支払いで済んだ。幸いにもマヴィレット服薬の4週目に私のHCVウイルスは消えた。以降、1年11カ月が経過した現在もウイルスの再燃はない。経過観察を現在も続けている。

私が治験に参加したMSD社の新薬は翌年の2016年11月9日に薬価認定された。これが新薬「グラジナ・エレルサ」である。グラジナ錠、エレルサ錠は、各々9,607.3円、2万6900.5円である。1回にグラジナ2錠、エレルサ1錠を服用するので1回分は4万6115.1円となる。これを84日間服用すると合計は387万3668.4となる。
 C型肝炎ウイルスの新治療薬が余りにも高価なのと、そして恐らく30年に及ぶHCVウイルスとの共生の日々に、当事者としても今更ながら呆然自失するばかりである。

(2020.2.15)

(「私のC型肝炎物語」 附章:「C型ウイルス肝炎治療」の経済的側面)