TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

「私たちは幸福になる権利はない」のか?

 「しらふで生きる」(町田 康)を少しずつ読んでいる。面白いのだが論理展開についてにくのがしんどくなった。この本は、「小説幻冬」の連載(2017年1月~2019年7月)「酒をやめると人間はどうなるか。ある作家の場合」を改題して、加筆・修正して単行本にしたのだと知った。雑誌野「幻冬」は買ったことがないのでこの連載も知らなかった。おそらく読者からの反響が大きかったのだろう。たしかに読ませる文章ではある。

 さて、ようやく111頁まで読んできた。ここで、ぐっと腑に落ちる記述にであった。
 「私たちに幸福になる権利はない」。この章の記述が腑に落ち始めた。引用する。

 「飲酒者が飲酒に至る過程を、1.自分は幸福である権利を有している。2.ところが不当にもこれを奪われた。3.そこで、自分はそもそも有していた幸福である権利を行使することができる、と仮にするとき、2.について、それは不当に奪われたのか、という疑問が生じ、これをよくよく考えたところ誰もなにも奪っておらず、他と同じく公平に取り扱われている、ということがわかった。にもかかわらず不当と感じるのは自惚れによる、ということもわかった。
 次に、飲酒とわかりきった 3.は措いておいて、そもそもの前提である、1.自分は幸福である権利を有している。について考えてみよう。
 というのはしかし考えるまでもない。そんなものは有していない。」

ここまで読んで、目からうろこが落ちたのだ。そうか、そういうことかわかった。町田さんの、「しらふで生きる」の論理展開が少しわかってきた。もともと生きるとはつらいことなのだ。酒をのんでひと時の幸福感を求めることはない物ねだりということになる。

(更新予定)