TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

酒を飲んでも飲まなくても人生は寂しい―「しらふで生きる」の最終章を読む!

 町田康さんの「しらふで生きる」を読んだ。久しぶりに良い本にであった。結論が、「酒を飲んでも飲まなくても人生は寂しい」、であった。その前の「ああ、素晴らしき禁酒の利得」の章では次のように書いている。

 「そこでここまでの禁酒による利得を整理すると、

  ①ダイエット効果
  ②睡眠の質の向上
  ③経済的な利得

 でありいずれも素晴らしき利得であると言えるが、禁酒の利得はこれにとどまらないので、さらに申し上げると前に少し言った、脳髄のええ感じ、というのがある。」

 町田さんが、まとめた禁酒の利得の三つは前から言われていることだ。①のダイエット効果は、酒を飲むとお摘みを沢山食べてさらに最後に仕上げラーメンやお握りを食べたりするので太る。これは酒飲み庶民の例だが、お金持ちや社用族が高価なワインやフランス料理のフルコースを食べれば、最後にチョコレートまで出るので食べ過ぎになる。アルコールが睡眠を妨げることは専門医から指摘されている。寝酒(眠る前のお酒)は良くない。③の経済的な利得は言うまでもない。

 禁酒の利得の三つは当たり前のことなんだが改めてまとめて提示されるとよくわかる。「わかっちゃいるけどやめられない」のが凡人の常である。そこで4っつ目の利得の「脳髄のええかんじ」について考えてみる。これに町田さんは一章を費やし「脳髄もええ感じになった」について展開している。

 「(酒を大量に飲むということは)つまりどういうことかというと狭い脳髄の収容の上の階に広い酒蔵があり、そこここに四斗樽が八万ほど置いてあった。ところがアホな奴がいて悪戯をしやがり、この八万の四斗樽の栓を一時にみな抜いてしまった。三万石の酒が一気に流れ出し、脳髄の収納は酒でズクズクになってしまった。・・・・」

 町田さんの比喩は巧みなので、脳髄が酒で傷んでグズグズになっていく様が容易に窺える。「大酒を飲んで宿酔いを」すると確かに脳髄がやられた感じは経験したことである。町田さんは、禁酒を思い立った契機を、狂気の沙汰と言っている。その「狂気の沙汰」は渋谷の高速道路から自ら落下して死んでしまったと面白可笑しく言っている。自分でも「なんで突然酒を止めたくなったのか」、それを決断した「狂気の沙汰」がいなくなったので理由は分らないと言っている。とはいうものの、「このまま飲み続けると余り遠くないうちに脳髄がだめになり、我は死ぬな」と気がついたのだと思う。

 ここまでくると二十年以上もC型肝炎ウイルスによる慢性肝炎を抱えて生きてきて、そして今も糖尿病をもつ私が酒を飲み続ける意味は一つもないと気がつく。本来なら今のいまからオサラバしなくてはならい・・・。