(121) 私の「医人」たちの肖像― 西丸與一さんと「法医学教室の午後」
2020年4月3日。法医学の西丸與一さんが亡くなった。新聞に訃報がでていた。老衰で死去とのことだ。93歳だから現在では超高齢というわけではない。
- 1982年:
■法医学教室の午後■
西丸さんは、元横浜市立大学医学部の法医学教室の教授だった。同時に、神奈川県の監察医長く勤め、数多くの事故、事件の検死解剖、鑑定に携わった。監察医として係わった事件には、全日空羽田沖墜落事故、日航機御巣鷹山墜落事故、なだしお事件、東海大学安楽死事件、坂本堤弁護士一家殺害事件等がある。いずれも、同時代を生きる者にとって忘れることのできない事故や事件である。
西丸さんは、多くの監察医や検死の体験から、一般啓蒙書である「法医学教室の午後」を書かれた(1982年朝日新聞出版局)。この本は、映画化やテレビドラマ化もされている。
- 2020年4月3日:
■天寿を全う■
老衰ということは特に疾患があったわけではないのだろう。一昨年に亡くなった生理学者の伊藤正男先生も、93歳で老衰にて亡くなった。ご自分の専門の学問を究められて、老衰で天寿を全うするなんてなんと素晴らしいことだ。
西丸さんとは、実は一面識もないのだが、同時代を生きた医学者であるので、このシリーズブログにとり上げた。
(2020.4.5)
(私の「医人」たちの肖像― 〔121〕 西丸與一さんと「法医学教室の午後」)