TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

「雨月物語」って知ってるかな?

 上田秋成雨月物語」って気になる本だ。30年も前に岩波書店の日本古典文學体系「上田秋成集」を買った記憶があった。たしか捨ててはいないと書棚を探したら見つかった。コロナ感染拡大防止で蟄居状態でも読む本はとにかく沢山ある。でも、この古典文学大系の「雨月物語」は難解で読み難い。

 上田秋成は、文化六年(1809年)6月27日に、京都の百万遍屋敷、羽倉信美の邸で没した。行年76歳。逆算して生まれたのが享保19年6月25日に大阪で生まれたという。当時としては長生きの方なんだろう。今から凡そ250年くらい前の人なんだ。雨月物語には、漢文の序がついているが、これは難解でまず読めない。岩波版では書き下しの序がついているが、これも難しい。肝心の「雨月物語」には中村幸彦さんが詳細な校注を付けている。これを読めば少しは分る。それでも難解で退屈で読み切れない。というわけで買ったが良いが40年間以上も書棚で埃を被っていた。

 閑話休題。先日、稲城市立図書館で「ストーリーで楽しむ古典 雨月物語」という本を見つけて借りてきた。金原瑞人著、佐竹美保絵となっていて、高校生向けの教養書のようだ。これが読みやすくて面白い。構成が秀逸だ。架空の高校の先生が文芸部の生徒たちに課題で「雨月物語」を与えて、一人が一章ずつ読み砕いて解説しながら、現代語訳にしてストーリーを描き砕いている。これだと私でも読んで分かる。「雨月物語」には九編の短編物語から成り立っている。第1編の「白峰」は、西行法師が恨みから幽霊となった崇徳天皇に出会う話である。時代背景は室町から鎌倉時代、平家の滅亡の頃である。後白河天皇とか源義朝とかが出てくる。断片的には知っていても、その繋がりは知らない。この「白峰」を読むと歴史背景がさらに面白くなる。

「願はくは花のしたにて春しなむその如月の望月の頃」なんて詠んだのが西行さんだ。西行は元は北面の武士(佐藤義清)だったが早めに引退して坊主になって西行と号して歌人となったとか・・・。良い本にであった。