TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

文藝岡崎38(岡崎文学会)「忘れがたき人々」を読んで

大学時代の友人のFO君から「文藝岡崎 38」(令和2年5月1日刊)が送られてきた。早速読んだ。「忘れ難き人々(2)」という連作エッセーである。エッセーであろうか? 小説のようにも読める。しかし、小説ではない。忘れ難い若き日の想い出の物語りである。50年前に札幌市に実在した「ワシップ(崇拝)」という名称のスナックで働いていた女性のことを書いている。実は私もFO君と一緒にそのスナックに何回も行ったことがあった。このスナックで頻繁にかっていたシャンソンシャルル・アズナブールだった。そのことを私も覚えていえる。FO君はこのスナックで働いていた女性(あっちゃん)を今回の「忘れがたき人」として、懐かしいリリシズムというのだろうか、哀しい若き日のひとこまを描いている。あのころから既に50年近くが過ぎ去った。FO君にも私にも「幾星霜がありまして」・・・。FO君はエッセーをこう結んでいた。

「私の人生も既に残り少なくなって来ている。もし、もう一度彼女に会えるとしたら、私は恐らく会おうとするだろう。たとえ彼女との会話がながく続かず、居心地の悪いぎこちのないものになったとしても。又すっかり変わってしまった彼女に大きな戸惑いを感じたとしても、やはり会っておきたいと思う。しかし一方で私は、そんな機会が再び訪れる事など在る筈はないとも思っているのである。」

哀しい話だ。でも美しい。何ものにも代えがたいものと思う。想い出の多くは苦く悔恨であったりする。実は今年の3月2日に岡崎市にFO君を訪ねて旧交を温める計画をしてホテルを予約した。しかし新型コロナウイルス感染拡大防止のためにやむを得ずに先送りした。私にとってFO君は「忘れ難き人」の一人なのだ。

(「tomydaddy blog」 2020.5.1