TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

相馬黒光の「黙移」を読んでいる

相馬愛蔵・黒光著作集」巻3「黙移」を読んでいる。この本は、1981年頃に全5巻を購入したらしい。本の中に、1981年5月12日(火曜日)に、東京・本郷で、その頃に私が通っていた「本郷ロシア語クールス」の例会開催の案内メモが挿入してあった。従って上記の本は四十年以上のあいだ読まれずに書棚で眠っていたことになる。この本はすごい感動的な内容だ。まだ読了をしていないのだが少しメモを残したい。

これは、相馬黒光がまだ「良」という一人の少女時代に遡って始まる来歴と自伝の物語である。黒光は宮城県の士族の娘に生まれた。14~15歳で宮城女学校に学び、そこから横浜フェリス女学校に転じ、さらに東京の明治女学校で学んだ頃の思い出と出会った人たちとの交流が描かれている。当時の明治女学校に島崎藤村や北村透谷が教師をしていた。後に有名な英語辞書を作った斎藤秀三郎の妹の冬と北村透谷の不幸に終わった結婚生活、国木田独歩と従妹の信子との不幸な結婚とその終焉、等々が語られる。有島武郎の小説『或る女』のモデルは、信子らしい。その有島武郎は46歳にして29歳の人妻と不倫の果てに心中をしてしまう。死体が死後2カ月くらい発見されなかったので、有島らの身体には蛆が湧いていたとの記述がある。有島武郎の『ひと房の葡萄』は中学校の教科書で読んだと思う。あの美しい感動の物語の作者は悲惨な最期を迎えていたと知った。
 まだ、「黙移」は半分まできたところである。黒光は相馬愛蔵に嫁ぎ、縁あって東京・本郷にでてきて、東大正門前のパン屋「中村屋」を買い取ってパン屋を始める。まるで、小説のような物語である。後半は、読んでからまとめたい。