「アルツハイマ―病は一番おそろしい。それは、身体だけなく心を闇の中に葬りさるからである」という文章を40年も前に、米国の週刊誌「ニューズ・ウィーク」のアルツハイマー特集で読んだ。あれから、40年が経過した。わが同伴者に言わせると、「私はいつ呆けてもおかしくない状態」に近ついているのだという。
京都大学と三重大学は、6月4日、家族性アルツハイマ―病の患者からつくったiPS細胞をもとに効果を確認した薬を、実際の患者に服用して薬を、実際の患者に服用してもらう治験を始めると発表した。この治験は世界で初めてだという。今回の治験では、家族性アルツハイマー病患者10人を薬を飲むグループ偽薬のグループにわけ、1ん年ほどいかけて安全性や病気の進行抑制といった有効性を評価する。患者の公募はしないという。ということは、この治験はやはり「人体実験」であるのだろう。アルツハイマー病には的確に効く薬はないから、患者のグループは効くか効かないかは承知で治験に参加するのだろう。記憶に留めて治験の成果に注目していきたい。