TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

私の「医人」たちの肖像― (126)新井平伊さんと認知症の現在

(126)私の「医人」たちの肖像― 新井平伊さんと認知症の現在

 

本日、「東急コスモス会」から送られてきた小冊子に、「先手の脳健康対策―アルツクリニック東京・院長新井平伊先生にお話を伺いました」という興味深い記事が掲載されていた。

 

  • 2020年7月4日:
    ハッピー・エイジング・フォーラム■

 

以下に紹介するのは、上記の小冊子の特集記事からのまとめ(剽窃)である。東急不動産ホールディンググループと学校法人順天堂が産学共同で「ハッピー・エイジング・フォーラム」というのを立ち上げて、超高齢化社会を生きるための科学的知見等を発信しているう。認知症もその重要なテーマの一つなのだという。

 

認知症の中には「治る認知症」も■

平均寿命の延長とともに認知症は増え続けている。公営労働省によると、2025年には国内の認知症患者は700万人を超えると推計されている。1947年生まれの私は2025には78歳になる。2025年には団塊の世代が80歳前後に達するので認知症も増加すると言われている。

認知症とは、脳の神経細胞が障害を受け、人間に備わっている認知機能(記憶・思考・言語・判断など)が、日常生活に支障をきたすほど低下した状態であるという。齢をとれば物忘れは誰でも多くなるが、認知機能が異常に低下するのが認知症と考えられる。

81歳で亡くなった私の実母もたぶん認知症を患っていたようだ。ようだというのは、郷里の田舎に暮らしている母には年に2回くらいしか会っていなかった。80歳近くなってから、帰省しても嬉しそうな表情がなかった。息子だとの認識がなかったのではと後で気がついた。

また93歳で亡くなった義母の場合は明らかに認知症が進んできていた。墨絵を自ら描き、身ぎれいな方であったのに身の回りも構わなくなってしまった。認知症をなんとか防ぐ方法はないのだろうか?

 

■四大認知症

認知症は、研究が進んでおり、以下のような四大認知症が8~9割を占めるのだという。多い順に、アルツハイマー認知症、血管性認知症レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症となる。要因とそれぞれの特徴・症状がまとめた表があったので再掲する。
 【アルツハイマー認知症】 (要因)βアミロイド、タウ蛋白などが脳に蓄積し、神経細胞が変化、脳の働きを低下させて、脳を委縮させる。(特徴)脳の神経細胞の減少、脳の萎縮、老人班・神経原線維変化の出現。記憶障害(もの忘れ、何度もおなじことを聞く等)、意欲・感情の変化が起こる。少しずつ穏やかに進行するが、重度になると運動機能にも支障を来たす。
 【血管性認知症】(要因)原因の多くは脳血管疾患による。生活習慣の悪化が要因となる。(特徴)認知症状と脳血管疾患との間に関連性が認められる。症状は脳血管障害を契機に階段状に進行する。脳血管障害でダメージを受けた部位により手足の麻痺、言語障害、意欲障害などの症状出現は異なる。
 【レビー小体型】神経細胞内に「レビー小体」という特殊なタンパク質の固まりが出現する。(特徴)パーキンソン症状、抑うつを伴う。初期段階はもの忘れではなく、うつ症状や動きの問題などが目立つ。幻視・幻聴が現れ、気分や態度の変動が大きいこともある。
 【前頭側頭葉変性症】脳の前頭葉や側頭葉の萎縮。いくつかのタイプがあり、ピック病(前頭葉認知症)が代表的である。(特徴)記憶障害は軽度で、性格変化や行動障害が目立つ。反社会的行動や人格・情動面の変化、病識の欠如などが特徴である。

 

認知症の前段階での早期発見が重要■

日常生活で物忘れやうつ状態が多くなったりすると「認知症ではないか?」と心配になる。そういえば、私の母の場合も晩年は憂鬱そうにしていたような気がする。認知症の初期症状として「うつ症状」があり、はじめはうつ症状があり、時間の経過と共に認知症に移行する場合もあるということである。つまり、白と黒の間にグレーゾーンがあるようなもので、グレーゾーンは「認知症」の前段階ともいえるので。この段階での早期発見が大切であるとのことである。近年の研究で二段階があることが明らかになっている。一つは「軽度認知障害」(MCI=Mild Cognitive Impairement)といわれるもので、少し物忘れはあるけれど日常生活は自立して過ごすことができ、認知機能検査では正常と認知症の中間を示す状態である。もう一つは、「主観的認知機能低下」(Subjective Cognitive Decenile)という、MICよりもさらに前の段階で、認知機能検査でも低下はみられず、「少し変だな」気がつく程度だという。MCIを放置すると、5年以内に50%が認知症に移行する一方で、回復する人も10~15%も見られるのだという。このグレーゾーンの段階でどうのように過ごすか否かが肝心なのだという。

私自身はどうなのだろうか?物忘れは激しい。車の運転が手々も下手になった。アルツハイマ―型認知症ついては、発症する20年以上も前からβアミロイドと呼ばれる異常な蛋白が溜まりはじめ、15~20年かけてゆっくりと進行するのだという。ということは、私の脳にもかなりのβアミロイドなり、タウ蛋白が溜まっているのかもしれない。 何とか認知症を予防することがいまからでもできるのだろうか? いま、まとめている小冊子に、「今からできる!―認知症7つの予防週間」が簡潔にまとめてあった。

 

認知症7つの予防週間■

認知症は、ライフスタイルを改善し、リスクを減らすことで予防が可能だとのことである。WHO(世界保健機関)がまとめた認知症ガイドラインでも、特に効果的な予防策と⒲して、適度な身体活動(運動(、禁煙、適正飲酒、バランスのとれた栄養が重要だとしているそうだ。私でもまにあうだろうか?身体運動としては週二回の合気道の稽古、一日7000歩以上目標は1万歩の散歩、なるべく酒を控えるようにはしている、しかし、禁酒ができない。禁煙だけは、37歳くらいに禁煙してか35年くらいが経過している。

7つの良い習慣をいかに再掲する。

(1) 生活習慣病(高血圧・糖尿病・高脂血症・肥満)の適正コントロール
 
高血圧や糖尿病のあるひとは、適切な治療を受け、ライフスタイルを改善することが大切である。現在、私は毎朝、グリミクロン(糖尿病対策)とブロプレス(降圧剤)の2種類を飲んでいる。朝の血圧が、150-82くらいことがある。少し高い時もあるが、概ね順調である。ヘモグロビンA1cは、6.7~7.5位で辛うじてコントロールされている。今年の2月4日に、8.5の時があった。この時は12月~1月のあいだいに沖縄旅行して毎日お酒をのんで余り運動もしなかったのが禍したようだ。2月~6月までは、新型コロナウイルスの影響で合気道の稽古ができなかったが、毎日の散歩1万歩を心がけたのが奏功した。6月19日の健診では幸いにもヘモグロビンA1cが、7.3まで改善していた。

(2)節酒、禁酒:
 
飲んだアルコールの量に比例して脳がダメージを受ける。アルコールは脳をダメにするらしい。私の場合は、1998年(49歳時)にC型肝炎ウイルスのキャリアーであると人間ドックで判明した。2018年5月に、ウイルスが除去されたらしいが、22年間くらいはHCVウイルスと共に生きてきた。酒を飲むのがよくないのは自明なのに今もって禁酒がいない。とにかく、節酒するしか道はない。町田康さんの「しらふで生きる」を再読して、禁酒に再挑戦したい。

(3)禁煙:
 喫煙は身体の健康を害するだけでなく、認知症と認知機能低下のリスクになる。職場の友人、同僚や上司の中でも、喫煙者の多くは60歳くらいで早世している。個人差はあるようだが喫煙は身体によくないようだ。

(4)運動:
 運動は脳を刺激する。WHOによれば、65歳以上の人は週に合計150分以上の中強度の有酸素運動をするか、週に合計75分以上の強度の高い活発な運動が推奨されるそうだ。WHOはともかく、現在、私が行っている、週2回の合気道の稽古(有酸素運動)とほぼ毎日の7000歩以上の散歩はよい習慣のようであ。

(5)難聴対策:
 難聴は認知症の大きな要因の一つだそうだ。たしかに、最近、とみにテレビの音量が大きくなる傾向にある。2~3年くらいまえに、聞きにくさを健康診断で指摘され、専門医の受診を奨められたが放置している。いちど、きちんと調べて対応したい。

(6)うつ対策:
 うつ病になると脳がダメージを受け、認知症のリスクが高まるそうだ。疲れたときとか、連れ合いとケンカすると、うつ的になる。その折は、木刀をふる体操(有酸素運動)すると若干に気分がはれてくる。うつ対策は本当に難しいと思う。

(7) 人との交流:
 社会的な交流は人生を通じて健康や幸福に強く関連していることが分かっているのだそうだ。「孤独のすすめ」という五木寛之の本が好きである。この本を読んで、意を強くしている。毎土曜日の合気道の稽古のあとで、飲み会にも時折」は参加するようにはしている。これは、飲み会なので酒を飲み過ぎることになる。

以上をまとめてみると、私の場合は節酒をすれば既に認知症予防の生活習慣はやれているのではないだろうか?とにもかくにも今回は新井平伊さんの近況に接して幸いであった。

 

  • 1985年:
    ■新井平伊さんとの出会い■

 

1985年の夏頃だろうか、東京都精神学研究所(精神研)に当時の所長の石井 毅先生穂を訪問して「プリオンと老年痴呆」のテーマでインタビューをした。その折に、新井平伊先生は、順天堂大学から派遣された研究員の一人だった。「彼は順大からきているのだが優秀でね・・・」のような紹介の仕方を石井所長がされたのが記憶に残る。正式に紹介されたのではなく研究所で偶然にすれ違っただけかもしれない。数年後に新井さんは順天堂大学に戻られ、やがて精神医学教室の教授になられていた。

経歴によると、新井さんは1997年に順天大学医学部精神医学講座教授就任、1999年に「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設した。今では名誉教授になられ、2019年からはアルツクリニック東京の院長になられている。新井さんは、精神研から順大医学部の精神科に戻られ一貫して認知症の研究と臨床に従事されてきたようだ。殆ど面識がないのに、私の「医人」たちの肖像の126回に取り上げた。そもそも、このブログは私自身の「認知症予防対策」の一手段なのでご容赦をお願いする。
(2020.7.4)
(私の「医人」たちの肖像―〔126〕 新井平伊さんと認知症の現在)