TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

新型コロナ、自然免疫で撃退も

 「新型コロナ、自然免疫で撃退も―第一人者に聞く免疫の新常識」という極めて興味深い記事を読んだ(朝日新聞 7月18日付 be report)。この記事は、宮坂昌之さん(大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授)に、畑川剛毅さんという記者がインタビューしてまとめた記事だ。この記事の概要を、記憶と記録のために纏めておきたい。文章は無断引用しながらまとめる。括弧の中は宮坂さんの見解だ。
 リードの文章にまずこうある。「抗体だけが免疫ではない。自然免疫だけでウイルスを排除できる人もいる」。

 (1)「抗体だけが免疫でない」とは?
 「免疫イコール抗体という考え方は20年前までの古い常識。新型コロナウイルスはでは抗体は免疫の中であまり大きな役割を担っていないでしょう。回復したひとの3分の1は抗体をほとんど持っていないとの研究結果もあります」
 ということは、一度新型コロナウイルスに罹って治っても、抗体ができていないので何度でも罹患するということだろうか?
 「人間の免疫はもっと重層的です。人体の免疫機構は、自然免疫と獲得免疫の2段構え。自然免疫は生まれた時から備わっていて、まず皮膚や粘膜の物理的、化学的バリアーが病原体の侵入を防ぎます。そこが突破されても、白血球の一種である食細胞が病原体を食べてくれます。・・・・自然免疫が強ければ、それだけで新型コロナを撃退できる人もいます。私は我々全体の1割程度は自然免疫だけでコロナを排除できるのではないかと推測しています」
 上記の件は、素人の私にも分かる。食細胞は英語ではMacrophage(マクロファージュ)と言うんだ。
  「自然免疫で排除できなければ、獲得免疫の出番です。・・・最初に刺激されるのはヘルパーTリンパ球で、獲得免疫の司令塔です。これがBリンパ球に指令を出すと、Bリンパ球は抗体を作ってウイルスを殺し、ヘルパーTリンパ球がキラーTリンパ球に指示すればキラーTリンパ球はウイルスに感染した細胞を殺します。・・・キラーTリンパ球は抗体と同様に重要です」
 なるほど、自然免疫の次の段階の免疫機構もこう説明してもらうと分かる。
 次の説明はこうだ。
 「つまり、抗体がなくても、自然免疫が強いか、キラーTリンパ球が活躍すれば回復できます。だから、抗体の保持率イコール既に感染して治った割合、ではありません」
 この説明はよくわからんな。つまり、抗体ができていなくても、治ることがあるってことだよね。記者の、畑川さんも疑問を感じて聞いた。

 (2)抗体には悪玉もいるんだ!

 ――それでも、抗体が重要なことに変わりはないのではないですか?
 「抗体の振る舞いにも大きな誤解があります。全ての抗体がウイルスを撃退すると考えられがちですが、違います。」
 そうなんだ。抗体はみんないい働きするとばかり思っていた。こういうことは何時解明されたのかな。私は素人なので最近の免疫の進歩は知らなかった。
 「3種の抗体があり、一つはウイルスを攻撃し排除する『善玉抗体』です。逆にウイルスを活性化させる『悪玉抗体』と、攻撃もしないし活性化もさせない『役なし抗体』もあります」
 そうなんだ。なんだか、悪玉と善玉のコレステロールとか、はたらき蟻と働かないぶらぶら蟻のようですね。面白い。記者は次のように質問している。
 (3)集団免疫は難しいんだって!
 ――一定割合以上の人が感染すれば、それ以上の感染が拡大しない「集団免疫」については?
 「一度獲得した免疫が長期間にわたって続くことが集団免疫の前提です。・・・・でも、新型コロンナの免疫が続く期間はとても短く、免疫が半年程度ではないかと考えてります。免疫が半年しか続かなければ、集団免疫はいつまでたっても獲得できません。」
 なるほど、この発言は恐るべきことだ。新型コロナウイルス感染が拡大し始めた頃には、不顕性の集団感染が起きて知らないうちに罹って治って、大勢が抗体を獲得すれば、「集団免疫」ができるのだと単純に思っていた。これだと、新型ウイルすとの平和共存なんてできないではないか?
 「破傷風やポリオなど、ワクチンを一度打てば免疫が数十年も続く病気もあれば、インフルエンザウイルスのように3カ月程度しか続かないものもあります。私は新型コロナワクチンが出来ても、インフルエンザと同じように有効期間は極めて短いものになるのではないかと考えています」
 おいおい、これは何なんだ。ワクチンが出来さえすれば大丈夫と素人はおもっているのに・・・。これでは、2021人の東京オリンピックはまず無理だ。

 (4)ほんじゃどうしたらいいのか?
 ―― 免疫を強くするためには?
 「強くするという言い方は不適切です。・・・強くするのではなく、自分が持つ免疫をフル活用できる状態に保持することが大切。それにはまずストレスの少ない生活をする。リンパ球は血液の流れに乗って全身をパトロールしているので、有酸素運動をしたり、毎晩お風呂に入って体温を上げたり、血流をよくする。免疫は体内時計がつかさどり、昼は免疫が強くなり、夜は弱くなります。体内時計を毎朝きちんとリセットする。・・・・朝日を浴び、軽い体操や散歩をして、体内時計が狂わないようにするのには大きな意味があります。」
 なあんだ。意外と普通の結論ではにですか。規則正しい生活を心がける。G爺の私は暇だから、毎朝、軽い体操や散歩はできるのでやっています。

 (5)新型コロナなに弱いのは高齢者でしたね。
 「免疫は加齢が非常に大きな要素です。50代を過ぎると免疫力は半分になると言われています。新型コロナの重症者の95%以上が60代以上というのはうなずける数字です」
 加齢がリスクファクターで、おまけに糖尿病をもっているG爺(私)は、コロナウイルスに罹ったらら重症化はまぬかれそうもないな。G爺は、C型肝炎ウイルスのキャリアの生活を30年くらい続けてきた。おまけに、ウイルスに変異が起きていて治療に難渋した経験がある。新型コロナウイルスも1本鎖RNAウイルスという点ではHCVと同じであるんだが、変異はどうなんだろうか?
 (6)新型コロナウイルスの変異はどうなのか?
 ――新型コロナは変異が速い?
 「変異の速さはRNAウイルスの特徴です。でも他のRNAウイルスに比べ変異の幅は大きくない。・・・・新型コロナウイルスで明らかに病原性が高まった変異は今のところありません」

 なるほど、新型コロナウイルスの特徴はわかったけれど、今後どうしたらいいのかな。
 (7)接触8割減は不要?
――私たちの撮るべき対策は?
 「全日本剣道連盟に頼まれ、実験しました。(宮坂さんの趣味が県道なんだな?)①1.5メートル離れれば飛沫を浴びる可能性は少ない。②マスクを付ければ9割の飛沫は防げる。・・・・つまり、他人と1.5メートルの距離を保つ。マスクを着ける。空気感染を防ぐために換気する。手洗いや穏やかな接触制限と行動変容で対応できます。・・・・ワクチンが出来れば、新型コロナはインフルエンザと同程度の病原体となりますが、安くて良いワクチンが出来るのには2年以上かかるでしょう。・・・しばらくの間、人類は、新型コロナウイイルスと共生していかなくてはなりません。」

 結局のところ、結論は、潔い生活をしながら、ワクチン開発をまって、その後も新型コロナウイルスとの平和共存をめざすということなんだ。