シリーズ:ロシア語を読む― (1)寓話とお話 (トルストイによる)

シリーズ:ロシア語を読むー(1)寓話とお話し(トルストイ
 父親と息子たち

 父親はいつも息子たちに仲良く暮らすように言っていたが、彼らはその言葉に従わなかった。あるとき、父親は樹枝束を持ってこさせこう告げた。「折って見なさい」息子たちは何とか折ろうと試みたが駄目だった。そこで父親はこう言った。「樹枝束をバラバラにしてから折りなさい」と命じた。こんどは子どもたちは簡単に樹枝を折ることができた。父親はこういった。「お前たちもこの樹枝と同じなのだ。みんな仲良く暮らして居れば、誰もお前たちをやっつけることは出来ない。だが、お前たちが喧嘩ばかりしていたリ、何でもてんでんばらばらにやっていたら、誰もがお前たちを簡単に打ち負かしてしまうだろう。」

<コメント> これはロシアの小説家トルストイによる「寓話とお話」に載っている「父親と息子たち」という掌編である。これを読むと、日本の戦国武将・毛利元就が、子の隆元・元治(吉川氏に養子)・隆景(小早川に養子)に授けたという教えを思い起こす。一本の矢は容易に折れるが、三本まとめては折れにくいことから、一族の結束を説いた「三本の矢の教え」と後世に伝えられている。これは,史実ではなく、元就が発した「三子教訓状」が元となった逸話である。国は違えども言っていることは同じであるのが興味深い。