私の「医人」たちの肖像―(128) 奈良勲さんと「第13回世界理学療法連盟学会(WCPT)・横浜開催」

(128)私の「医人」たちの肖像― 奈良勲さんと「第13回世界理学療法連盟学会(WCPT)・横浜 1999年」

 

 奈良 勲さんは、詩をかく人らしい。らしいというのは、その方の詩集をよんだことがないからである。1993年に私が医学雑誌部に異動して、理学療法の専門雑誌「理学療法ジャーナル」の編集担当に携わったときに、奈良さんは既に編集委員のお一人であった。同時に数年前から、日本理学療法協会の会長職にあった。鹿児島大学を卒業された後に、アメリカにわたり米国で理学療法士の資格を取得したとお聞きした。大学時代は短距離や棒高跳びの選手であったとも聞いた。アスリートで英語使いでもあったのだ。生き方が詩人なんだ。奈良さんには、1993年の5月頃から私が退職する2011年まで20年近くお世話になった。編集会議のあとの懇親会の折には、マジックを披露するなど多彩で場を和ませる達人であった。記憶と記録のために、シリーズ<私の「医人」たちの肖像>に何れとりあげたいとは思っていた。先送りすると機会を逸するようなので、ここで1999年に横浜で開かれた第13回世界理学療法連盟(WCPT)開催とからめて記録することにした。

 “WCPT”ってなんだ■
 “WCPT”は、世界理学療法連盟(The World Confederation for Physical Therapy)のことである。1951年にコペンハーゲンで設立総会が開催されて以来、現在では世界75か国、地域から凡そ22万人の会員数を誇るまでに発展している。このWCPT第13回学会(The 13th International Congress of WCPT)が、奈良 勲会長(日本理学療法士協会長、広島大学医学部教授)のもと、1993年5月23日~28日の6日間、横浜市パシフィコ横浜において開かれた。初日6時からの開会式及びレセプションに社として招待され参加した。
 理学療法分野でアジア地域ではもちろん初めての国際会議でもあり、開会式には世界71か国から凡そ3000名の参加者があった。開会式では奈良会長、David Teager (President, WCPT)に続いて、天皇陛下のお言葉、厚生大臣、神奈川県知事、横浜市長の挨拶が相次ぎ、外務大臣からノーベル賞利根川 進先生、宇宙飛行士の向井千秋さん他からの祝電も披露され格調高いオープニングとなった。引き続いて開かれたレセプション会場には天皇皇后両陛下が凡そ40分間にわたりご臨席、海外からの出席者が列をなして両陛下と歓談する風景が間の当たりに見らりられた。
 WCPTは、”国際的・非政治的・自発的・職業的な団体の連盟であり、会員を国籍・人種・皮膚の色・政治・性別・社会的地位を理由に制限しないこと“ を基本としており、レセプション会場は文字通り、皮膚も衣服も色とりどりの参加者に溢れエネルギーを感じさせた。今回のWPCT学会のメインテーマは、”Bridging Cultures-文化を超えて―“というものでした。
 医療・介護・福祉の各分野でPT・OTの活躍が期待されている。1999年4月13日、今年の理学療法士国家試験(第34回)の結果が発表され、新たに2,566名の理学療法士(因みに、作業療法士は1,589名)が誕生した。
 最後に蛇足になるが、理学療法は”Physical Therapy”とも、”Physiotherapy”とも英語で表記される。前者は文字通り、「物理療法」だが、後者は”Physio-“「生理(生命の理)」に基づいた治療ということのようだ。この呼称は学術雑誌名にも反映されており、米国理学療法協会(APTA)の機関誌は”Physical Therapy” だが、英国の雑誌は“Physiotherapy”というタイトル(誌名)である。

 (「1999年7月14日 週間予定表No.2464 付録」より、一部改変)

<コメント>

 奈良さんは、今も現役のセラピストとしてご活躍だ。

(2020.9.7)

(私の「医人」たちの肖像―〔128〕奈良勲さんと「第13回世界理学療法連盟学会(WCPT)・横浜1999年開催」)