TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

私の「医人」たちの肖像―(132) 河盛隆造さんと「2021年はインスリン発見100周年」と私の糖尿病

 情報誌「あいみっく」の41巻3号(2020年)が送られてきた。この雑誌の連載シリーズ「21世紀の健康とは?」の第8回に河盛隆造さん(順天堂大学名誉教授)が興味深い記事を書いていた。テーマは、「ありふれた糖尿病にどのように対処する?―糖尿病治療のめざすこと」というタイトルだ。上記のなかで、河盛さんが「2021年はインスリン発見の100周年」に触れていた。これを読んで、急遽、河盛隆造さんを私のシリーズブログ<私の「医人」たちの肖像>の第132回に取り上げることにした。

 ■ありふれた糖尿病にどのように対処する?■
 「ありふれた糖尿病」ってなんだろうか?私の2型糖尿病は「ありふれた糖尿病」なんだろうか?多分そうなんだと思う。私はC型肝炎の経過観察で1998年から消化器内科を受診し始めた。その経過観察と毎年の健診で血糖値及びHbA1cの高値を指摘された。そのため、2006年4月から並行して糖尿病代謝内科を受診し始めた。初めの5年間くらいは食事療法と運動療法で経過をみてきた。同時に血圧も高いことが判明し、2010年頃から、血糖値をさげるためにグリミクロン、血圧管理ためにブロプレスの服薬を開始した。爾来、10年が経過している。これは、「ありふれた糖尿病」なのか、「立派な糖尿病」なのか分からない。多分、後者であろう。2016年~2018年にかけて、C型肝炎の治療のために内服薬を、その都度12週間にわたって服薬した。そのあいだは、禁酒あるいは節酒し、食事にも十分に気を付けていた。今から考えると、C型肝炎治療が糖尿病の管理にもなっていたのだと思う。なぜ、その時に気がつかなかったのだろう。

 さて、河盛さんが上記の連載の中で次のように書いている。
 <生活習慣病の0次予防とは、発症のリスクを減らす生活習慣を継続することであり、1次予防は生活習慣病を診断されるや否や、直ちに「発症前の状況に戻す」ことを、めざすべき、と捉えています。・・・・私どもは毎日300ℊ-800gのブドウ糖を全身が活用して生活しているのです。そのブドウ糖が臓器で的確に利用されないために、血液中にだぶついている状況を「血糖値が高い」と捉えているのです。糖尿病の治療のめざすことは、脳、肝、筋などに十分量のブドウ糖を利用させ、これら臓器の機能を維持することなのです。>

 上のような河盛さんの解説を読むと、糖尿病の成り立ちがよくわかる。私の糖尿病の発症は55~56歳頃の食生活と多忙な日常生活にある。当時は、毎晩のアルコール摂取に加え一日に4回の食事をすることが多々あった。

 ■「糖尿病」を正しく理解してもらおう■
 この項目で、河盛さんは興味深い事例を紹介していた。引用する。
 <患者A:昨年の75㎏から糖質制限食にして2㎏減量できたんです。ところがHbA1cが、6.2%から6.8%に増えているのです。」

 河盛:でも、肝臓の脂肪蓄積を反映するAST、ALTは共に20,23から45,58に増えていますね。
 患者A:糖質制限で痩せたのになぜですか?
 河盛:脳や筋肉など全身組織はブドウ糖をエネルギー源として活動しているのです。その量、あなたなら1日500ℊ以上にもなります。そのせめて60%は炭水化物から補充しなければんzりません。糖質を制限すると、ついつい脂肪を多く摂取せざるを得なくなりますし、筋は自らの大切なタンパクを分解し、ブドウ糖を作らざるをえないので、筋量も筋力も落ちてきます。そうなっていませんか。」>

 そういうメカニズムなのか。納得がいった。気軽に糖質制限は危険だということだ。河盛さんは食事について次のように書いている。

<・・・糖尿病の方にとって、食べていけないものは何もありません。3回の食事で、何もかもバランスよく、適量を美味しく味わって食べ、間食を控えてください。パンなら一枚、お米はお茶碗に一杯、うどんやそばなら1人前を必ず三度摂ってください。そして何よりも脂肪を減らしましょう。脂まみれのラーマメンは止めましょう。・・・・さらに食事の最初に野菜サラダなどを多く摂り、よく噛んでゆっくり食事を楽しみましょう。・・・・・>

 なるほど、食事療法の要がわかった。以前、C型肝炎の飲み薬を飲んでいる時には、アルコールを禁止したので、食事時に流し込むということをせずに、ゆっくりとよく噛んで食べていた。それと、食事は朝7時、昼12時、夜7時と決まっている。そして、夜21時過ぎには固形物を一切食べなかった。これが、糖尿病にとっても食事療法になっていたのだ。

 ■2021年はインスリン発見100周年■
 カナダの整形外科医フレデリック・バンティング(Frederick Banting)と医学生チャールズ・ベスト(Charles Best)が、研究室でインスリンの抽出に成功したのが、1921年であった。翌、1922年1月11日、当時14歳であった一型の糖尿病患者に世界で初めてのインスリン投与が、カナダのトロント総合病院で行われた。1923年にバンティングはマクラウドとと共に、インスリン発見の業績でノーベル生理学・医学賞を受賞した。バンティングは、マクラウドよりもベストの方が貢献が大きいとノーベル賞の賞金をベストと分けた。これを受けて、マクラウドも共同研究をした化学者コリップと賞金を分けた。ノーベル賞はいかにも人間臭い賞であると思う。

 2型糖尿病の治療の目的は■
 <内因性インスリン分泌を保持し続けること!・・・・軽度であれ高血糖状態を放置しておくと、インスリン分泌の低下が顕著となり、取り返しのつかない状況に陥いってしまうことの機序の細胞・分子レベルの証明が河盛研究室などから、なされている。>

 ■”糖の流れ”の制御因子は?■
 <”血糖値”が高いのは、全身細胞でブドウ糖が有効利用されないため、血管内にブドウ糖がだぶついていることを示す。全身細胞内でエネルギー源であるブドウ糖が欠乏した状況が続くことが、糖尿病を放置すべきでない根拠の一つと考えている。>
<・・・糖尿病の治療方針は、ブドウ糖を体内で有効利用できるようにインスリン分泌を高め、それを介して膵β細胞グルカゴン分泌を制御する、さらに全身細胞でのインスリンの働きを良くすることに尽きるのではなかろうか。・・・>
 上記の説明を、私の糖尿病に当てはめてみる。ここ7~8年は、高血糖およびHbA1cは、7~8位を推移している。2020年2月4日に、8.3と高値であった。2月~5月に、毎日の散歩(1万歩)を心がけてきた。その結果、5月から8月へ、7.5⇒7.3⇒7.0と下がってきた。次回、11月10日の結果がどうなうのか?

 ■食後高血糖制御方法は
 食後の高血糖を制御する食事の方法が重要となる。
 <①食事摂取後、肝へのブドウ糖流入を緩やかにする。:具体的には、食物繊維の多いものから摂取して、ゆっくり食事をとる。果汁などの単純糖質を控える、αグルコシダーゼ阻害薬を食前に服用し(何これ?)、炭水化物の消化・吸収を遅延させ、遅れて分泌されてくるインスリンとマッチさせる。②肝でのインスリンの働きを高める:脂肪肝を改善すべく脂肪摂取をを控える、③肝へのインスリン流入を瞬時に高める:内因性インスリン分泌を保持し、大切にする、必要であればグリニド、SU薬によりインスリン分泌を高める、④肝へのブドウ糖流入時に、門脈-肝静脈のブドウ糖勾配を大とする:昼食、夕食前の血糖値を十分低下させておくために間食を禁止する。・・・近年、今までの制御因子に、⑤グルカゴン分泌を制御すること、⑥流入したグルカゴンの肝での作用をブロックすることが、制御因子に加わってきた。>
 上記の説明は分るのだが、実践するのは難しい。私にできることは、①ゆっくりと食事する、②間食を止める、くらいだろうか。
 最後に、河盛さんが、「まとめ」として、こう述べている。
 <このような、治療法が奏功するのは、たとえ少なめでもあれ膵からのインスリン分泌が保持されていることが必須である。すなわち、内因性インスリン分泌を保持することこそが、安定した血糖応答を維持して、血管障害を進展させないために求められる事であろう。>

 ■間食、隠れ酒のみを止めよ■
 説明がよくわかった。私の糖尿病は、多分、辛うじて内因性インスリンが保持されている状態だと思う。間食で煎餅や飴をなめる事、お酒の隠れ飲みを止めることが大事である。アルコールをなるべくやめてゆっくり食べる。それに尽きるようだ。
 私が医学領域の週刊医学界新聞の記者になったのが1981年であった。その頃、インスリン発見の60周年の特集を掲載した記憶がある。その頃、河盛さんは大阪大学の講師であった。数年後に、順天堂大学の糖尿病内科の教授に就任された。今日は、河盛さんのお名前に接し、糖尿病について記した。河盛さんは現役の医師ととしてご活躍だ。