毎年12月1日は、「世界エイズでー」である。新型コロナウイル感染拡大が続くなかで、エイズのことは最近は話題にもならない。1980年代初めに登場した時は、治療法のない死に至る病の筆頭であった。
本日(2020年12月1日)の朝日新聞朝刊に、「HIV感染₋消えぬ偏見」の大きな見出しの記事が載っていた。記録と記憶のために概要をまとめておきたい。
この記事は、黒田壯吉さんの署名記事だ。
<エイズウイルス(HIV)に感染しても、適切な治療を受けていれば、移すことはない。最新の研究をもとに、こうした啓発活動が世界で広がっている。だが、社会の理解は進まず、当事者はいまも差別や偏見に苦しむ。>
■適切な治療続ければ「感染しない」■
エイズ治療薬の最初の開発者が日本人の満屋博昭さん(熊本大学名誉教授)だということは十分には知られていないのではないだろうか。毎年、10月のノーベル生理学学・医学賞が話題になる度に、「今年は満屋さんかな」とつい私は思ってしまう。以下、新聞からエイズ治療の現況を紹介する。
<エイズはかつては致死率の高い病気だったが、薬など治療環境が大きく進歩して、平均余命が非感染者とほぼ変わらないくらいに改善した。現在は、HIVに感染しても早期に治療を始めれば、エイズの発症や症状を抑えられ、通常の日常生活を送ることができる。・・・また、近年、薬でウイルス量を抑えていれば、コインドームなしの性交渉でも感染させないことが複数の臨床研究で示されている。これを受け、2016年頃から、「検出されない=Undetectaable」と、「感染しない=Untrabsmittable」の頭文字をとった「U=U」を広める啓発活動が世界で広がっている。・・・・・・
厚生労働省によると、2019年に報告された新規のHIV感染者・エイズ患者は合計1236人だという。エイズが発症して初めて感染がわかる人が全体の約3割を占める。>
エイズが余り話題にならないのは良いことだ。しかし、新たな偏見が残るというか登場していようだ。企業の入社に際しての健康診断項目にHIVやHCVの検査ははいっているのだろうか。近年、LGBTへの理解と配慮が進む中で、HIV感染にたしては差別が残っているようだ。私が、C型肝炎ウイルスのキャリアと判明した時にも、他の人には何も言わずに、歯科健診も避けてきた。厳然と偏見が残っていたからだ。
「U=U」運動について今後は注目していきたい。