TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

「人はみな大河の一滴」と「これからの哲学入門―未来を捨てて生きよ」について思うこと

 『短歌の作り方』(木俣修)を読み継いでいる。第5章「短歌の伝統―VI 近代の短歌」まで読んできた。ここでは、落合直文、佐々木信綱、与謝野鉄幹、尾上柴舟、金子薫園、正岡子規与謝野晶子、伊藤佐千夫、長塚節、窪田空穂、太田水穂若山牧水前田夕暮石川啄木、土岐哀果、吉井勇北原白秋、島木赤彦、斎藤茂吉、中村憲吉、古泉千樫、土屋文明、釈超空、木下利玄までを取り上げ、その作品と作風を解説している。さらに、これらの歌人がどこで生まれ、どのように世を去ったかにも触れている。みな若くして世を去っている。啄木は27歳で、若山牧水は44歳で亡くなった。斎藤茂吉の72歳は長命のほうである。こう考えると私はいま73歳なので長命の部類に入っている。
 ここで、五木寛之さんの「大河の一滴」に戻ろう。
 「生まれたその日から、日いち日と死という場所へ歩き続けるのが私たちの人生である。生きるとは、死への日々の歩みにほかならず、私たちはすべて死のキャリアであり、それが発症しないように止める手段は永遠にない。出会った人間は、別れる。どんなに愛しあい信頼しあった夫婦でも、いずれどちらかが先立ち、別れなければならない」
 五木さんはあたりまえのことを書いている。それは、単に諦観というのではなく、五木節で諦める(明らかに極める)ということである。「人間とは哀しいものだと思い、人生は残酷であるのが自然だと考える。それをマイナス思考と恐れることはない。・・・・・存在するのは大河であり、私たちはそこをくだっていく一滴の水のようなものだ。」
 どうも、五木さんの「大河の一滴」は「なるようにしかならないのが人の世の常なのだから、あくせくせずにありのままを受け入れて生きなさい」といっているようである。

 触発されて、人の一生について考えているときに興味深い本の広告を見つけた。
 『これからの哲学入門―未来を捨てて生きよ』(哲学者・真理学者 岸見一郎)という本が、幻冬舎の新刊で出ていた。この本のテーマは、上述した五木さんの本と同じと推測した。五木さんの本も幻冬舎文庫の一冊である。仕掛人は両方とも、見城徹氏という編集者社長のようだ。上記本の著者の岸見さんは京大出の哲学者と知った。広告には「アドラーデカルトプラトン・・・古今東西の賢人の言葉を咀嚼して再構築した画期的な一冊」とある。この本は「大切だと思っていたことのほとんどは重要ではない」「残り時間を数えれのをやめれば人生は変わる」「他人の期待に応えなくていい、困難に打ち勝たなくていい」「できることは足元にある、一人の力は大きい」「執着するものがあるから死ねる」「すぐに結果がでなくていい、ゆっくり変わっていけばいい」「ただ生きているだけで価値がある。私もあなとも・・ほか」
 この本にとても興味を惹かれる。「70歳を過ぎたら浮世の義理ははたさなくていい」ということもよく聞く話しだ。「残り時間を数えるのをやめれば人生は変わる」というのはまさにその通りだろう。近いうちに本屋で見つけて読んでみたい。