TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

北條民雄『いのちの初夜』の角川文庫が復刊された

 『いのちの初夜』は青春の文学である。角川文庫の『いのちの初夜』はいまも私の本棚の何処かにあるだろう。この本を読む若い人は今は少ないかもしれない。私たちの世代の文学少年の必読書であったと思う。北條民雄は23歳で腸結核で亡くなっている。ハンセン病患者で東村山市にあった多多磨全生園に入院していた。ハンセン病というと多摩前全生園を思い起こす。今から35年くらい前に東村山市の隣の清瀬市に住んでいたので、緑の多い武蔵野風景が今も好きだ。樹木希林さんの名演で有名な映画『あん』もこの辺が舞台である。今年は、ハンセン病の隔離政策をめぐって大きな動きがあった。このことについてはブログで既に触れた。

 「ハンセン病みつめ 北條民雄の文庫復刊 19日に際催しも」の小さな記事が朝日新聞夕刊(2020年12月16日)に出ていた。藤生京子さんという記者の署名記事だ。記録と記憶のために、上記の新聞記事から概要をまとめておきたい。
 <自らのハンセン病との闘いをモチーフにした作家・北條民雄(1914年~1937年)の短編集『いのちの初夜』が角川文庫で半世紀ぶりに復刊した。>
 <現在の徳島県阿南市で育った北條は、14歳で上京し働きながら文学を志すが、ハンセン病と診断され、19歳で東京都東村山市全生病院(現・国立療養所多磨全生園)に入院する。創作への思いは断ち切りがたく、川端康成に原稿を送ると認められ、複数の作品が文芸誌「文学界」や総合誌「改造」に掲載された。『いのち初夜』は全生園への隔離入院時のことを描いた小説で、「文学界賞」を受賞した。しかし、腸結核のために23歳で亡くなった。>
 <東村山市日本ペンクラブと共催で、12月19日午後15時から、「ふるさと文学2020北條民雄と多磨全生園」と題した催しをライブ配信する。俳優の竹下景子さんと作家のドリアン助川さんの対談、北條と川端の書簡を紹介する音楽ライブ、全国ハンセン病入所者協議会事務局長の藤崎陸安さん、作家の中島京子さん、吉岡忍さんらのシンポジウムもある。>

 そういえば、映画「あん」の原作者は、ドリアン助川さんだった。ペンクラブの現在の会長の吉岡忍さんは、もともとはルポライターだった。私が、清瀬市から転じて埼玉県狭山市に住んでいるときに埼玉県入間市で、1988年~1989年にかけて宮崎勤容疑者による連続幼児殺害事件が起こった。この事件を若き日の吉岡さんが取材して記事を書いていたのを覚えている。吉岡さんは、北條民雄の文学にも詳しいのかもしれない。12月19日の「ふるさとと文学2020年北條民雄と多磨全生園」は、日本ペンクラブがユーチューーブで無料配信するとのことだ。是非見てみたい。

 ■若くして亡くなった詩人・小説家■

 梶井基次郎 1901年2月17日~1932年3月24日 (31歳)肺結核

 北條民雄 1914年~1937年    (23歳) 腸結核
 富永太郎
 中原中也
 石川啄木
 立原道造
 

 

(更新予定)