TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『ニッポンの小説』(高橋源一郎)を読んでいる

  『ニッポンの小説』(高橋源一郎)を読んでいる。もう、最後のほう「ちからが足りなくて」の最終場面まできた。「ジョウゼツな文体」が読ませる。知的好奇心を刺激するのである。高橋さんの言うところの「日本の小説」がメイジの夏目漱石国木田独歩田山花袋島崎藤村あたりから始まったところから論じている。「日本の小説」はその頃までなかった。「源氏物語」「伊勢物語」等々はあったのだが・・。いうところの「近代文学の小説」は、ロシア文学の翻訳(二葉亭四迷あたり)から始まったという解説は、あたりまえと言えばそれまでだが、そうかと思った。高橋さんは、『日本文学盛衰史』という本も書いている。
 ところで、「ちからが足りなくて」は、高橋さんが教授をしていた明治学院大学での講義録(録音?)からまとめたのではないだろうか。

 詩人の荒川洋治さんの『文芸時評という感想』を下敷きにして滔々と饒舌なまでに「日本の小説」と「小説家」を俎上に挙げている。結構面白い。ここまで分析して貰うと、高橋さんの小説を読んでみたくなった。
 荒川洋治さんといえば、私が一端に生意気に詩らしきものを書いていた20歳前後の頃に、当時読んでいた雑誌「現代詩手帖」に詩を寄稿していたと思う。今回調べたら、荒川洋治さんが『文学は実学である』という本を書いている。これは是非、読んでみたい。「文学は虚学」だと思っていたが、そうでないという視点は興味深い。そういえば高橋さんの「ちからが足りなくて」の中で、2006年頃の雑誌「文学界」に載った現代作家の小説の書き出し10作品を引いている。共通するのは、その「暗さ」だと指摘している。こういうところも読んでいて面白く感じた。読了したらまた感想を書く。