TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

多和田葉子さんのベルリン通信―移民夫婦の物語にみる未来

 多和田さんは日本語とドイツ語の両方で書いている作家だ。10年くらい前に、英会話の「NOVA」に通っていて、英国出身の若い男性講師に日本人の作家で誰が好きかと問うたことがあった。「多和田葉子さん」との応えだった。直ぐには多和田さんを思いださなくて、調べてみたら「犬婿入り」という小説で1993年に芥川賞を受賞した人だった。多和田さんがその頃はドイツで書いている作家になっていたのだ。「犬婿入り」も文藝春秋で読んでいるのだが筋も忘れていた。
 昨日の朝日新聞に多和田さんが、「移民夫婦の物語にみる未来」という興味深いベルリン通信を寄せていた。これは随時掲載のコラムだ。今回は、新型コロナウイルスワクチンを米国ファイザー社と共同でいち早く開発した「バイオンテック社」の創業者の話だ。この会社を創業して今も経営しているのがトルコ系の移民の夫婦なんだという。妻のテュレジさんと夫のシャヒンさんという二人だという。
 <ドイツのマスコミは、移民がドイツ社会にどれだけ大きな利益をもたらすかを証明する模範例としてこの夫婦を称えているように見えるふしもあるが、本人たちは「移民」というカテゴリーで世の中を見ていないようで、たとえばバイオンテック社の社員も60カ国以上から来ているので、移民であることはあまりにも「普通」で、と語っている。>だという。
 <バイオんテック社は、アメリカのファイザー社の協力を得てこのワクチンを生産した。> 
 ということは、生産の主体はファイザーではなくて、バイオンテック社だったのだ。
 多和田さんは、この通通信をこう結んでいた。
 「地方の小さな町にしっかり根をおろし、いろいろな国で育った人たちと一緒に仕事をし、最終的には地球全体の役に立つように活動する。もしかしたら、それはパンデミックが見せてくれた一つの未来のビジョンなのかもしれない。」
 この記事を読んで、ファイザーとバイオンテック製のワクチンへの信頼感が増してきた。