TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

「人生はつまらんかもしれないなあ」と『私生活』(高橋源一郎作)を読み終えて思った

 先ほど、『官能小説家』を稲城図書館にリクエストした。

「亡き父をつまぜかせしは酒なりきその酒をわれ今日も呑むなり(多治見市  野田孝夫)が、今日の朝日歌壇で馬場あき子さんに選らばれて載っていた。読んで面白いが、哀しい歌でもある。

 高橋さんの私生活「二〇〇三年六月☓日 鎌倉 さよなら、ママ」を、本日も読んだ。

『私生活』もおわりに近づいてきた。
 <父が病院で亡くなったの後、遺品を整理していたら、一冊の大学ノートが出てきた。死後の指示が幾つか、書かれ、短い日記が綴られ、そして、yほぼ終わりの部分に、女性の名前が延々と書かれていた。いや、正確にいうと、名前とその後にどんな人物だったかが書かれていた。・・・・・・・これはいったいなんだろう。・・・・・それは、父が生涯に関係した女性のりすとだった。・・・・・・・父は不遇な芸術家志望者であり、失敗した実業家であり、不幸なギャンブル依存症患者であり、きわめて陽気な身体障害者でもあった。しかし、彼がふだんなにをなにを考えていたのか、なにを大切に思っていたのか、なにを隠していたのか、ぼくはなにひとつ知らなかったのである。>
 この件のあとで、こう書かれている。
 <亡くなった母の顔を見つめながら、ぼくは、実はこの人のことも知らなかったと思った。作家であるのに、そのことをうまくいい表す術をぼくは持たない。・・・・この人もとても遠い。>
 「二〇〇三年二月☓日 鎌倉 一九三六年のラヴ・レター」

も面白い。これは、歌人斎藤茂吉の晩年(でも五一歳)の恋のことを書いている。斎藤茂吉には、怖い奥さん(輝子さんは茂吉の妻で作家北杜夫の母だろう)がいた。茂吉の恋の相手は、二三歳の永井ふさ子さんというのだそうだ。大歌人だからか、大恋愛をしている。『斎藤茂吉・愛の手紙に寄せて』(永井ふさ子著・求龍堂)という本があるようだ。読んでみたい。
 さて、高橋源一郎さんの本をだいぶよんできて面白かった。お父さんのことも、ママのこともほんとうのことをかいているのだろうか。作家の書くことだから、脚色であっても差し支えない。