TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

「こころ」漱石を読んでいる

 昨日、田山花袋『蒲団』を読み終えた。花袋は群馬県舘林の出身なんだと知った。上京して小説家を志して尾崎紅葉の弟子になりたかったが、田舎者の花袋は紅葉に嫌われて弟子にして貰えなかったらしいという記述を読んだ。『蒲団』は自伝的な告白もので自然主義小説の代表となった画期的な作品らしい。読んでみると実のところ、気持ちのよい読後感ではない。内弟子となった女子学生に恋をして、弟子と恋人となった同志社の学生の関係をめぐり悶々とする記述は「なんだこれは」という気がした。巻末で、まだ若い日の出家する前の瀬戸内晴美さんが解説を書いていた。さもあらんという記述で、瀬戸内さんは花袋を認めていないような感じであった。
 さて、今日は、併行して読んでいた、『こころ』(夏目漱石)の「上 先生と私」を読み終えた。読んでみると、この明治の小説は全く古さを感じさせない。先生と私の出会いは鎌倉の海水浴場なのが不思議に思った。先生は本郷で自適な暮している学者のような人だ。私は、岡山かどこか地方の出身の帝大性のようだ。

「君のうちに財産があるなら、今のうちに能く始末をつけて貰って置かないと不可いと思ふがね、余計なお世話だけれども。君の御父さんが達者なうちに、貰うものはちゃんと貰って置くやうにしたら何うですか。萬一の事があったあとで、一番面倒の起るのは財産の問題だから」

 せんせいと私のあいだに、上のような会話がある。遺産相続の話である。じつのところ、せんせいと私は、実際はあかの他人だが、こんな話をしている。
 「こころ」は、このあとで、「中 両親と私」と「下 先生と遺書」と続く。読んでいて思うのは、漱石も花袋もそんなに古い感じがしない。