TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『新カラマーゾフの兄弟上』を読み終えたので続編を予約した

亀山郁夫さんの『新カラマーゾフの兄弟-上』を読み終えた。よくもまこんあな長い物語を亀山さんはかいたものだ。ドストエフスキーカラマーゾフを下敷きにして、1995年代の日本のオームによる地下鉄サリン事件等の時代背景を描きながら、日本の黒い家族、それは黒木家の物語を書いているのである。死んだ実業家の兵庫はヒョードルだし、三兄弟の末弟のリョ―はアリョーシャである。面白いといううより、こんな長い物語を構築した亀山さんのエネルギーに脱帽してしまう。
 第一部の最終章「黒木家の兄弟:プロとコントラ」では、ドスト氏の「大審問官」のアナロジーで、黒木家の二男イサム(イワン)と三男リョウ(アリョーシャ)の対話が延々と続く。実の兄弟でこんな哲学的な対話をする兄弟がいるだろうか。イサムは慈恵医大を出たらしい内科医だ。リョ―は東京外語のロシア語科を出たらしい青年でこの物語の主人公と言った位置づけだ。底流として流れるのは、父親兵庫の不審死と思われる背景にのもとでの「父殺し」のテーマである。
 いささか流すぎるこの物語を読み通すのはチョットしんどくなった。続編を予約したので読んではみる。