TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

生体肺移植が行われたんだ―驚異の先進医療だ

 生体肝移植は日本でも普通の医療になったのだろうか。脳死からの肝移植はどれくらい実施されてるのだろうか。肝移植や、腎移植に比べて、生体肺移植はまだハードルの高い、侵襲の大きな医療だと思う。

 「生体肺移植で治療―高いハードル」という大きな見出しの記事が目に飛びこんできた。新型コロナウイルスによる肺炎で肺の機能を失った女性に、京都大学のグループが、4月に家族から提供された肺の一部を移植した。凄い医療が実施されたのだ。記憶と記録のために概要を、このブログに紹介しておきたい。阿部彰芳さんという記者の署名記事だ。
<移植を受けた女性は昨年末にコロナに感染した。肺炎がおさまり、体内からウイルスが消えたが、両方の硬く小さくなっていた。呼吸の機能が失なわれ、回復は見込めなかった。約3カ月間、ECMO(体外式膜型人工肺)で命をつないだ。血管に刺した管から血液を取り出し、酸素と二酸化炭素を交換して体内に戻し、肺の機能を肩代わりする。ただ、感染や出血の危険があり、いつまでも使うことはできない。女性は、基礎疾患がなく、肺以外の臓器に障害もない。肺さえ働けば、健康に戻れる見込みがあった。入院先の病院から、肺移植の実績がトップの京大病院に移り、夫と息子が肺の一部を提供した。夫と息子には、肺全体の約20%が提供されるために肺活量が減ることや合併症のリスクなどを説明し、同意を得て手術に至ったと言う。>

 実に凄い医療が行われたものだ。これまでも生体肺移植はあったのだろうか。生体肝移植で肝臓を提供しても、肝臓は再生能力があるので元の大きさに戻るという。しかし、肺移植は、肺は再生しなので、提供者側の負担は大きくなるに違いない。私に愛する妻のために、自分の胚の一部を差し出す勇気があるだろうか。提供者も命がけとなる。

<2021年4月7日の移植手術は10時間57分に及んだ。翌朝、会見した伊達洋至教授は「新型コロナウイルス感染の後遺症で重篤な肺障害を起こした患者にとって、生体肺移植は希望のある治療になると思います」と語った。経過が順調なら、女性は2カ月ほどで退院、3カ月ぐらいで社会復帰できるという。>

 兄弟の胸部外科教授の伊達洋至教授は、岡山大学脳神経外科伊達勲教授の弟さんと知った。1959年(昭和34年)生まれだから、もう62歳なんだ。脳外の伊達勲先生に、雑誌脳神経外科編集委員としてお世話になった。その折に、伊達兄弟は岡山大学で有名な俊秀とは聞いていたが、弟さんが呼吸器外科で肺移植の専門とは知らなかった。

 ■脳死による臓器提供―少ない日本■
 <京大によると、海外ではすでに数十件、コロナの患者への肺移植が行われているが、脳死の人が提供した肺が用いられているという。日本臓器移植ネットワークによると、脳死の人からの臓器提供は2020年までの5年間で平均74件。一方、肺移植を希望しているひとは3月時点で478人いる。>

 やはり、日本では脳死による臓器提供は余り進んでいなのだ。私は、20数年にわたり、C型肝炎ウイルをもっていたので、臓器提供はできないのでドナーカードに署名することなく、齢74歳となった。一代限りのこの身体を大事に使いたい。臓器提供は勇気ある誠意であるだろう。

<今回の京大の生体肺移植は、コロナの患者では世界で初だった。日本移植学会副理事長の湯沢賢治・水戸医療臨床部長も「移植でしか救えない人を救えたことは、移植医療として誇っていいことだ」と話す。>

 そうか、世界で初の生体肺移植だったのか。提供した夫さんと息子さんに敬意を表するしかない。
<移植医療が盛んな米国やフランスでは、肺の生体移植は近年、ゼロの年が続いている。>
 そういうことなのか。生体肺移植も、生体肝移植も、脳死による臓器提供の少ない日本に得意的なのか?

<移植医療の問題に詳しい生命倫理政策研究会の橳島次郎・共同代表は「米国もフランスも依然、ドナーが不足し、待機中に亡くなる患者もいる。それでも、生体肺移植はやらないようにしている。日本はこの事実を重く受け止めるべきだ」と強調する。>

<コメント> 凄い記事を読んだ。命の重さを今一度受け止めたい。治療をうけた女性が元気で生きれることを祈り続ける。命ってなんだ。