TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

社会詠(短歌)だけでなく「社会句」も面白いんだね!

「春水でありし日もあり汚染水(八王子市 額田浩文)」 長谷川櫂選: 選評はこうある。「東電福島原発に汚染された水の悲しみ。そして苦しみ。」
 俳句には季語があるから、「春水(しゅんすい)」が春の季語だろう。俳句にもこの句のように社会詠というのが多いようだ。
 「とてもとても惜しむどころの春ならず大阪市 まさご卓三)」これも長谷川さんの選だ。「今年の春はまさにこのとおり。」との選評だ。俳句も、素直にありのままに詠むのが良いようだ。毎週、テレビの「ぷればと」という俳句番組をみているが、俳句を詠むのも実に難しい。
 さて、今週も「朝日歌壇」を読む。

手に負えぬものを作りし人間の後始末する母なる海よ大津市 秋山一美)>
<「処理水」の入った瓶を持つ総理両手に真白き手袋をして(観音寺市 篠原俊則)>⇒高野公彦選: 「原発汚染水を処理して海に放出することについて、人々のさまざまな想い。」というのが、高野さんの選評だ。両方とも、社会詠の典型だ。実に素直に世相を切り取っている。篠原さんは、常連の投稿者だ。

<パリパリのスーツ着て靴ならし一年遅れの入学式へ(富山市 松田わこ)>
 ⇒高野公彦選:松田さんのわこさんは妹さんだろう。もう大学二年生なんだ。もう立派な歌人だね。これから、恋のうたなんか詠むのだろうか。

<魚好きの夫は年間どれほどのプラスチックを食べているにや(前橋市 荻原葉月)>
<それほどに安全ならば初めから海に流していれば良かったのに(さいたま市 吉田俊治)>
永田和宏選: 「荻原さん、怖い歌。魚に蓄積したマイクロプラスチックを知らぬうちに接種する。プラスチックゴミは緊急の課題だ。次の三首は、トリチウム汚染の海洋放出に対する怒りを。」というのが、永田さんのコメントだ。
 永田さんの選出の歌は、社会詠、世相を切り取る歌が多い。

<こんなにも軽い言葉であったとは「宣言」だとか「徹底」だとか(神戸市 松本淳一)>⇒馬場あき子選: 緊急事態宣言の「宣言」のことを詠っている。
<固定電話いのちの我はお押しつづけて四日目つながるワクチン接種日(松戸市 猪野富子)>⇒ 馬場あき子選:この歌も、世相をというか体験を素直に詠んでいる。

<泣きじゃくる黄色の傘に降る雨の匂ひはやさし登園の朝(大和高田市 石塚」智恵子)>⇒ 佐佐木幸綱選: 黄色い傘は小学校一年生だろう。このような優しい母の素朴な歌もいいと思う。

 以上から、今週の私の秀歌は、以下を選ぼう。

 手に負えぬものを作りし人間の後始末する母なる海よ大津市 秋山一美)
「母なる海よ」というのが胸にせまってくるようだ。