TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『森と湖のまつり』(武田泰淳)を読み終えた

 私が読んだ単行本『森と湖のまつ』は、新潮社から昭和33年に出版された。第5刷で定価は370円である。この本は、古本を「ご自由におもちください」と何処かのフリーマーケットでいただいたものだと思う。泰淳さんの本はたくさん読んだが、『ひかりごけ』くらいしか記憶にない。北大の文学部を卒業しながら『森と湖のまつり』を読んでいないのは始まらないと以前から思っていたのだ。

 今回、芦原 伸君の『ラストカムイ』を読んで、その中の紹介に触発されてついに読んだ。『森と湖のまつり』の主人公である近森市太郎のモデルが、アイヌ彫刻家の砂澤ビッキなんだという。もう一人の主人公、札幌の女流画家佐伯雪子にもモデルがいるのだろうか。もう一人の主人公、アイヌ研究科の池博士にモデルがいるのだろうか? 芦原伸君の「ラストカムイ」の中の記載によれば、アイヌの青年と結婚した美根子を紹介したのが、渋沢龍彦の妹の渋沢幸子さんである。泰淳さんは、砂澤ビッキと美根子にあった。それから、北海道に取材旅行に行っている。

 『森と湖のまつり』のあとがきにこう書いている。
 「いよいよ長編の資料集めにかかるときは、まず札幌の道立図書館へ行きました。(北大をやあめてもう五年も経っていましたが)そこの研究室で、更科源蔵、河野広道、渡辺茂の諸氏に面会し、ねんごろな手ほどきをうけ、共に不便な山村漁村へ旅行してもらいました。」
 泰淳さんは、アイヌ部落にいろいろと取材して聞き取りをしてきたようだ。こういう件もある。
 「国有鉄道札幌営業所で発行された「駅名の起源」は、更科源蔵氏が知里氏及び高倉新一郎氏と共同で監修したものです。」
 テシカガ、クッシャロ、シベチャ、トウロ、クシロ、等々、そういえば、北海道の地名はアイヌ語に起源があるんだろう。

 さて、『森と湖のまつり』を余韻でみると、大団円の件はあまり訴えるものを感じなかった。内田吐夢さんの映画をDVDで見てみたい気がする。