TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

朝日歌壇の日曜日

今日も朝日歌壇を読んだ。

廃線の駅舎に残る時刻表過去へ戻らず未来へ行かず(茨木市 瀬川幸子)>⇒ 佐佐木幸綱

<いくつかの迷いある日のそうめんにしょうがもネギもたっぷり入れる(富山市 松田梨子)>⇒高野公彦選:「三首目、人生のまよいをとりあえず振り払う若さのエネルギー」というコメントを高野さんが付けている。この歌は、馬場あき子さんも選んでいるので共選だ。常連歌人の松田梨子さんが、わこさんのお姉さんだったろうか。青春の頂点に近い人だろう。それにしても、歌が上手い。

<過去形で語った時にその不在認めたようで初めて泣いた(中津市 瀬口美子)>⇒永田和宏選:「瀬口さん、思わず過去形で語った時、その死を認めまいとしてきた強がりが一気に崩れてしまった。私にも経験がある。」と、永田さんがコメントしている。
<理由なき学術会議任命拒否 政府は人が忘れるを待つ(川崎市 小林冬海)>⇒永田和宏選: 「学術会議の任命拒否」は、大き問題であるが、市井の個人が繰り返し歌にするほど切実な問題なのだろうか?個人が詠うよりも、知識人がもっと大きく抗議して欲しい。

<赤んぼは足でよろこぶさやさやと子規の讃えし六月の風(羽昨市 北野みや子)>⇒馬場あき子選: 北野さんの歌は、さわやかな個人詠だ。

 以上から、今週はV、松田梨子さんの歌を私の秀歌にしたい。若いエネルギーにはかなわないね。

 いくつかの迷いある日のそうめんにしょうがもネギもたっぷり入れる(富山市 松田梨子

 

今週の歌壇には、田村 元という歌人が、「うたをよむ 居酒屋応援歌」というコラムエッセーを書いていた。
 <居酒屋が恋しい。例年の今の季節なら、よく冷えたジョッキで出されるビールやホッピーは、ひと仕事を終えたあとの最高の愉しみだ。・・・・・行けない私もつらいが、何より大変なのは、休業や時短営業の要請に対応する経営者や従業員の方々だろう。>

 ということで、田村さんが、せめてということで、居酒屋を詠んだ歌を紹介している。

平目の縁側をどんとご馳走してくれし菱川善夫と呑む酒うまし(普樹隆彦)>
 「札幌のある居酒屋が舞台の歌だ。・・・評論家・菱川善夫のきっぷの良さが伝わってくるところもいい。)」と田村さんが書いている。

<居酒屋にわが酔いし間を自転車のサドルにしるく雪たまりけり(吉野秀夫雄)>
 「しるく」は「はっきりと」という意味だという。「雪が降る前、いや秋風が吹く頃には、居酒屋で過ごす時間が戻ってきてほしい。」と田村さんが言う。

 吉野さんは有名な歌人だが、こんなわかりやすい歌も書いているのだ。下手な、社会詠よりもずっといい感じがする。