「黴の部屋黴たる男籠もりおり(西海市 前田一草)」⇒高山れおな、長谷川櫂共選
「己が死も知らぬ死者どち原爆忌(船橋市 斉木直哉)」⇒大串 章、長谷川櫂共選
⇒俳句と言っても、その重さが凄いと思う。
「一枚の切ってを貼りて夏終わる(深谷市 野村秀遊)」⇒長谷川櫂選
⇒本日の、俳壇はわかりやすかった。
「八月の父は無口になりにけり(大牟田市 田頭俊博)」⇒ 稲畑汀子選
⇒このかたの父は、戦前世代だろうか?「終戦の八月を思ってか、口数が減った父上」と稲畑さんが、コメントしていた。終戦の8月15日を知る人も減った。1995年8月12日の御巣鷹山に日航機墜落が私たちには思い起こされる。
さて、朝日歌壇に移ろう。今週も、鬼形君が入選していた。
<鉄棒のバーを手放し宙を舞う金メダリストの〈色即是空〉(安中市 鬼形輝雄)>⇒高野公彦選
⇒鬼形君の今回の歌は素晴らしい。
<アルバムに貼れない写真が一番の私の思い出だったりします(東京都 上田結香)>⇒永田和宏選: 上田さん、せつない写真があるんだよね。
<ワクチンをヴァイオリニストは腰に打つ腕も楽器の一部であれば(札幌市 住吉和歌子)>⇒ 馬場あき子、佐佐木幸綱共選: こういうこともあるんだね。
<障害の息子の手を引くわが娘後姿にエールを送る(大阪市 永富富美子)>⇒ 佐佐木幸綱選: こういう歌は人生を切りとる感じがする。
そのほか、常連の松田わこさんと、奈良氏の山添 葵さんが入選していた。
<大学の調理実習距離を保ち切干大根おやきを作る(富山市 松田わこ)>⇒高野公彦、馬場あき子共選
<通学路帰りに突然現れたビンゴみたいな選挙のかんばん(奈良市 山添 葵)>⇒永田和宏、馬場あき子共選
⇒山添さんは、多分、小学生なんだろうな。こういう歌が詠めるのだ。松田わこさんの歌は、上手いのだけれど感動をよぶのだろうか?
今週は、わかりやすい自分歌が多かった。一押しは、鬼形くんにする。「色即是空」が意表をついている。