TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『動的平衡-生命はなぜそこに宿るのか』(福岡伸一)を読み始めたので読書連鎖が起こりそうだ

 読書は連鎖する。
 宮坂昌之さんが書いた『新型コロナウイルス7つの謎-最新免疫学から

わかった病原体の正体』の書評を書いた。その中でこうかいた。
<「ウイルスは本来、わたしたちを含む生命圏の一部で、完全に撲滅したり、排除したりすることはできない」と、捉えるのは分子生物学者の福岡伸一さんだ。この見地に立てば、ウイルスを正しく理解して素直に畏れ、やがて「動的平衡」を得て共存していくのが本筋であろう。>
 この書評を書いたのは、医療従事者向けのワクチン接種が始まった今年の3月初めでった。その後、6月5日~25日にかけて私の回のワクチン接種も終了した。そして、私の書評が「医学じゃーナリスト協会」の会報(91号)に掲載されたのが、無観客で開催sれた東京オリンピック2020の間最中の八月は上旬だった。さらに、9月に入りこれまた無観客の東京パラリンピック2020が終了した。私が書評で書いた通り、新型コロナウイルス感染拡大が続き、4回目の緊急事態宣言は9月12日以降も延長の模様だ。依然として、終息の事態は見通せない。「動的平衡」にはなかなか至らないのだ。

本書『動的平衡』は偶然の機会で、稲城図書館の返却棚で見つけて借りてきた。いわば、今回もほんの本から私に微笑みかけてきたのだ。この本は、2009年2月25日に出いるから、本来ならもっと早く見つけて読んでしかるべきであった本である。福岡さんが世に出て良く知られるようになった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)が出たのは2007年だったと思う。この本は、たしか、分子生物学の入門書的な科学読み物だったと思う。この本は、とても興味あったので読んでから、会社の若いひとに「読むと良いよ」と言って進呈してしまった。このなかで、「動的平衡」という言葉を知った。上記の講談社本で、2007年のサントリー学芸賞を受賞している。それより前の2006年に福岡さんは、「第1回科学ジャーナリスト賞」を受賞している。

 早速、読み始めた。「プロローグ-生命現象とは何か」の冒頭はこう始まる。

<ShinーIchi,You  can not get wealthy by salary.

   「シンイチ、給与では決して金持ちにはなれないよ」
 ハーバード大学で研究院をしていた90年代の初め、私のボス、ジョージ・シーリー博士はこういった。>

 福岡さんは実に読ませる文章をかける人だ。科学ジャーナリストなのだ。
 <第1章 脳にかけられた「バイアス」―ひとはなぜ「錯誤」するのか>では、DNA二重螺旋構造の発見ぁら40年近いあとの1990年に、ソーク研究所で脳の「意識」の研究を行っているクリックが出てくる。研究所を作ったのはポリオ・ワクチンの開発者のジョナス・ソークだ。

 <第2章 汝とは「汝の食べた物」で」ある―「消化」とは情報の解体」>では、食物は情報を内包しているので、消化とはその情報を解体して、つまりアミノ酸まで解体して体内にとりいれているという説明がしてある。「胃の中」もさらに、「子宮」なんかも「身体の外」なのである。人間の消化管は口から抗門まで続くが外なのである。「生命活動とはアミノの並べ替え」という見方が腑に落ちる。お腹がすいてきて、「今日は肉が食いたいな、野菜もたべたい」などと思うのは、なんらかの必須アミノ酸が身体に足りなくなってきている証なんだろう。

 ここまで、読んできて、「あとがき」を先に読んだ。こういう件にあった。

<「マリス博士の本を訳した福岡ハカセですよね。マリス博士も面白いのですが、福岡ハカセにも興味があるので一度お会いできませんか?」
 そういう、海のものとも山のものとも判然としない依頼だった。・・・・>

 福岡さんは、かのPCRの開発者であるマリスの自伝『マリス博士の奇想天外な人生』(早川書房)を翻訳していたのである。
<マリス博士とは、遺伝子増幅技術、いわゆるPCR法を開発した破天荒な科学者である。LSD常習歴を公言しはばからないサーファあーである。>
 なるほど、そういう履歴があったのだ。こうして、福岡さんは雑誌「ソトコト」誌上で連鎖を持つことになったらしい。この連載から、本書『動的平衡』が生まれたものと書いてあっった。

 この本を読みながら、1990年代に私が遭遇した「PCR技術」のことや、『生物と無生物のあいだ』(現代新書)をもう一度読み直したいと思って、稲城図書館にリクエストした。すると、全く同じタイトル『生物と無生物の間』という本を、『近代医学の史的基盤』の著者が書いていると知った。