TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

写真集『水を招く』のこと―写真家 中山博喜さんと中村哲さん

 中村 哲さん(享年73歳)が、アフガニスタンで凶弾に倒れてからもう2年も経ったのだ。この同年代の激しく生き切った中村哲さんのことを思うと、同年代の凡夫の私は生きているのが恥ずかしくなってくる。男とはあのようにあるべきだ。

 中村さんと現地で5年間のいわたり活動を共にした若い写真家がいる。それが、中山さんだ。どんなキッカケで、アフガニスタン中村哲さんの元に行ったのだろう。

 2001年、中村医師が医療支援ではなく干ばつ対策の井戸掘りを始めた頃に、中山さんが、京都造形大芸大を卒業したばかりだった。「30歳までは色々と経験しようと・・・」と来た理由を言うと、「何も考えていないということだな」と中村さんがにやり。
 農業再生のためには、井戸を掘るよりも用水路を作る方が効率的だと中村医師は考えた。「医者がいないなら自分で治療すればいい、水がないなら引けばいい。中村先生の考えは常にシンプル。それを形にするために、恐ろしいほどの集中力を発揮した。」と中山さんが語る。
 ショベルカーに乗り、腰まで水につか中村医師の姿をカメラに中山さんがおさめた。惜しまれながら2006年に帰国した。2019年12月、中村医師の葬儀に駆けつけた。火葬場で、数枚の写真を仲間に見せると、「もっと多くの人に見てもらって」と言われ、公表を決めたんだという。
 こうして、6千枚のフィルム写真から用水工事に絞り、1年かけて約60点を選び、今年、6月、写真集「水を招く」を出版したんだという。見てみたい。

 写真集『水を招く』 赤々舎刊 A5判 2970円。