TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

生田房弘さんが亡くなっていた―『Glia細胞』のこと

 生田房弘さん(新潟大学脳研究施設)の奥方から喪中はがきが届いた。今年の5月26日に93歳で永眠されていたのだ。不覚にもこの情報を知らなかった。シリーズ<私の「医人」たちの肖像>の第129回目にとり上げていた。生田先生には、雑誌『脳と神経』および『神経研究の進歩』の編集委員になっていただいていたので、10~20年近いお付き合いをさせていただいた。文字通り、「させていただいた」という表現が正しいだろう。神経病理の大家であり、新潟大学脳研究所の所長(後に多分、名誉所長)という要職にありながら、私のような素人の若輩の編集者にも気さくにある時は謙虚に接して下さった。私が、勤務先の医学書院を退いてからも律儀に年賀状をくださった。私の方もお返事を差し上げないではいられなかった。今年(令和3年)には、年賀状が届かなかった。昨年はたしか、ご兄弟の逝去のゆえの喪中はがきを頂戴していた。そんなことで、心のどこかで生田先生の想い出が時折浮かんでいた。

 シリーズブログで、ババンスキーのことを書いていた時に、東大の萬年 甫さんが、カハ―ㇽについて書いている本を読んだ。その時に、生田先生もカハ―ㇽのことを、雑誌「ミクロスコピア」で連載されていたことを想いだしたりした。

『Glia細胞』(クバプロ)という出版社から、生田先生の編著で,1999年に出版された。Glia細胞の研究が生田房弘先生の専門領域だったのだ。この本は、9000円という高価な大著であった。あるとき、生田先生が通常の編集会議ではないときに、訪ねてこられ、『Glia細胞』の書評を雑誌に載せてほしいとの相談を受けた。たしか、書評を金澤一郎先生(東大教授・神経内科)に執筆いただいたことがあったと記憶している。その折に、生田先生は、『Glia細胞』の販売成績があまりよくない、つまり思うように読者がえられないことを仕切りに気にされていた。『Glia細胞』は生田先生の研究の総仕上げ的な本であったのだと推察される。

 生田さんの逝去の知らせに接して、ランダムに想い出を書いた。コロナの影響で、逝去の折も、あまり大きく報道されなかったのかもしれない。不覚にも今まで気が付かなかった。生田先生、お世話になりましたと言うしかない気持ちだ。雑誌「ミクロスコピア」の連載「カハ―ㇽの足跡を訪ねて」を読み返してみたい。