「ゆく秋のあとをとぼとぼついていく(栃木県壬生町 あらゐひとし)」⇒長谷川櫂、高山れおな共選:
この俳句は、長谷川櫂さんと高山れおなさんの二人が選んでいた。寂しい句だが共感する。
「秋深き一人一人に影法師(大月市 藤本 尋)」⇒長谷川櫂さんが、「秋深き」人の影法師。「秋深し」ではない。と、コメントしている。微妙な言葉の差が私にはわからない。
さて、歌壇に移る。今週も、松田さんと篠原さんという、常連の投稿者が優れている。
<「本人」と大きく書かれたマスクあり選挙用品商う店に(観音寺市 篠原俊則)>⇒佐佐木幸綱選
<すれ違う一人一人が冬めいて商店街の季節が進む(富山市 松田梨子)>⇒佐佐木幸綱、馬場あき子共選
<投げるのが怖かったという松坂のヒゲには白きヒゲも混じれり(観音寺市 篠原俊則)⇒高野公彦選
<「怪物」も「王子」も浮かべる投げられぬ悔しさよりも安堵の表情(観音寺市 篠原俊則)>⇒永田和宏選
<父が寝てからの団欒ありしこと湧き出づる寒椿の生家(京都市 森谷弘志)>⇒永田和宏選
<この秋の私の心の湖は少し増した気がする(富山市 松田わこ)>⇒馬場あき子選:
今週は、心に届く歌が多かった。
父が寝てからの団欒ありしこと湧き出づる寒椿の生家(京都市 森谷弘志)は、父の孤独を感じさせる。一家団欒のそとにいた父か?