TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

21世紀は「脳の世紀」と喧伝」されていた―脳の研究は進んでいるのだろうか?

 新型コロナウイルス(オミクロン株)の感染拡大が止まらない。新規感染者数が6万人台になった。死者は3ヵ月半ぶりに40人を超えた。こんな状況なので、マスクをして近隣を散歩する以外は、自宅で古い資料を整理している。
 「脳関係」と記したダンボール箱から、1993年発行の雑誌「BRAIN MEDICAL」(Vol.5 No.2)が出てきた。そういえば、1993年といえば、もう少しで21世紀に至る時期で、脳研究の10年とか喧伝され、脳研究が盛んであった。そして、21世紀は「脳の世紀」と言われ、国の内外で脳研究が推進されていた。21世になって既に21年目となった現在の脳の研究は何処まですすんだのだろうか。あるいは、2019年からの新型コロナウイルス感染拡大の余波で脳研究も沈滞状況かもしれない。
 さて、件の「BRAIN MEDICAL」は、「シャルコー脳科学」の特集をしていた。シャルコーといえば、既にこのブログでも触れたババンスキーが師事した臨床神経がの祖である。シャルコーは、1893年8月16日に亡くなったので、1993年は没後1世紀の年であった。「本誌では、ここにシャルコーの没後100年を記念して、臨床医学のなかで彼が果たした役割と、彼の業績について考えながら、臨床神経学の原点を探るための特集を刊行することにした。彼の残したものを振り返っていただきながら、MedicineにおけるScienceとartのかかわり合いを深く理解し、その結合のために努力した一人の医師の姿を知っていただくことができれば、編集者の喜びはこれに勝るものはない。」と、編集者の岩田誠さん(当時は、東大脳研究施設)が、「特集にあたって」で書いている。早速、全体を見直してみた。面白い。記憶と記録のために組み立てを紹介する。
 【座談会】シャルコーを語る(江口重幸、萬年 徹、三浦義彰、岩田誠)
 この座談会は圧巻である。医学徒ではない私にも面白い。三浦義彰さんはシャルコーのもとに留学した三浦勤之助さんのご子息で千葉大名誉教授(生化学)だ。そういえば、肝臓内科医の小俣政男さんが学生時代に三浦さんの薫陶をうけた世代と聞いたことがある。三浦さんが、自らの四代(一五〇年)にわたる医の系譜本『医学者たちの百五十年、平凡社)書いていることも知った。
 この特集は、冒頭に有名な「アンドレブレイエの『サルペトリエール病院の臨床講義』」の有名な臨床講義の絵の解説を岩田さんが書いている。シャルコーの右側に若いババンスキーが立っている。
 座談会の後で、以下のような記事が載っている。テーマと筆者を見れば中身は推測できる。
● シャルコーと筋委縮性側索硬化症(平山恵造)
● シャルコー多発性硬化症古川壽亮
● シャルコーと神経梅毒(作田 学)
● シャルコーの神経病学講義―その精神医学的、心理学的系譜(江口重幸)
● シャルコー失語症(相馬芳明)
● シャルコーとヒステリー(大東祥孝)
● シャルコーマリー病(古川哲雄)
● シャルコーと神経学の常識(岩田 誠)
 この特集は「けい啓蒙雑誌ながらでの自由な編集」から成っている。再読しても面白い。雑誌つくりはななか難しい。「BRAIN MEDICAL」は、2014年(26巻)で休刊になっている。