TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『あるヤクザの生涯ー安藤昇伝』(石原慎太郎)を読んだ

 安藤昇は、ヤクザではない、テキヤでもない。愚連隊だったんだという。横井英樹襲撃事件を経緯として、安藤昇は組を解散した。安藤の自伝的な週刊誌の記事の映画化に伴い、俳優にもなった。晩年は八丈島に移住して、89歳という天寿を全うしたんだと知った。『安藤昇伝』を書いた石原慎太郎さんが、昨日、同じく89歳で亡くなった。
 石原さんが、「長いあと書き」の中でこう書いた。
 <晩節の私が今さらこんな本を書いたことに世間は顰蹙するかもしれないが、肉体派の私にとって死を背景とした暴力なるものは、目を背けることの出来ぬ人生の主題だった。>
 この小説は、前に読んだ田中角栄を描いた『天才』と同じように、主人公(おれ)が語る形で、一気呵成に書いている。何ものかを訴えてくる。この本と、併行して村山由佳『風よあらしよ』を読んでいる。そこで描かれた大杉栄の、自由恋愛の言を読んでいると、大杉の行動の方にむしろ「潔さ」が感じられない。私は、ヤクザにも政治家にもなれなかったし、いや成れるとも成りたいとも思わなっかが、安藤の生き方の方に惹かれるものがある。石原慎太郎さんも、安藤昇に惹かれていたのだろう。