TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『老いてこそ生き甲斐』(石原慎太郎)を読み終えて思うこと

 『老いてこそ生き甲斐』(石原慎太郎)はニ年前(2019)に石原さんが書いて、昨年(2020)3月に幻冬舎から出た本だ。石原さんは、昨年の文藝春秋にも老いること・死ぬことについてのエッセイを書いていた。興味深く読んだ。この本は、元角川の編集者で独立して幻冬舎を企業した見城徹さんが、石原さんに書かせた本のようだ。つい最近、石原慎太郎さんが亡くなった後で、見城さんが石原さんとの出会い、編集者として『天才』(田中角栄)や『弟』(石原裕次郎)という小説を書かせた経緯を書いていた。どちらもベストセラーになったらしい。読んでみると一気に読ませる筆力を感じさせるものだった。これらは、作家としての石原慎太郎の持ち味が、「健康という才能」を感じさせるものだった。石原さんを世に出した『太陽の季節』も、石原さんの恵まれた健康な肉体と精神に裏打ちされた才能のか開花、と言えるものだろう。石原さんが、太宰 治も三島由紀夫も嫌いなのもよくわかる。ドストエフスキーボードレールも「病という才能」の持ち主とすれば、「健康という才能」に恵まれた作家は、もしかしたら少ないのかもしれない。「病という才能」を持ったがために、書くことで救われて生きる方が、メジャーと言えるのではないか。しかし、考えれば、「行き過ぎた健康も病と紙一重の同類」、なのかもしれない。
 さて、この本を読むと、石原さんは「親ガチャに」恵まれた、正直に成長した愛すべき人と知った。
 <老いるということは経験の蓄積です。それはなまじな貯金なぞよりも貴いともいえる。貯金は他人に簡単に分ける気に気にはなれないが、人生での経験は無差別無尽に他の人二に分かち役立てることが出来ます。そしてその献身は喜ばれるし、自分にとって生き甲斐になります。(第七章「人生の配当」)>
 こんな真っ当なことを書いている。また、肉体の衰えによる諦めについては、「海とヨットを諦めたこと」を書いて居る。規模が違うのである。諦めの境地も庶民と違うので、余り参考にはならない。誰しもが、老いによる衰えは淋しく辛いものであることを認識せざるを得ない。「バカの壁」のベストセラーを書いた、解剖学者で医師の養老孟司さんすら、最近、愛猫を失った悲しみと自らのおいについての本を書いている。五木寛之さんも老いについての発言が最近は多い。これらを読むと裨益するものが多い。