TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

気になる人の本『悩まないーあるがままで生きる」を読んで再確認したー残心のすすめ

 矢作直樹さん(元・東京大学医学部救急医学分野・教授)が時々本を書いていた? その広告を目にして気になっていた。東大医学部教授しかも超多忙であるだろう救急医学の所属で、専門の論文(も書いているだろう)の他に、一般啓蒙書をを書く時間も意欲もあるのだろうかと、気になっていた。しかも、矢作さんは東大卒ではなく金沢大学医学部卒で、幾つかの施設を経て最初は東大工学部精密機械工学部教授になり、そこから集中治療室に転じている。普通では考えらないような経歴なのである。

 以上のような思いでいたところ、昨日、稲城図書館の返却棚で矢作さんの二冊の本を見つけ借りてきた。
(1)『悩まないーあるがままで今を生きる』(2014年、7月発行)
(2)『自分を休ませる練習―しなやかに生きるためのマインドフルネス~』(2017年10月)

 矢作さんは、2016年3月に東大病院を定年退官している。したがって、(1)の本は教授時代、(2)の本は退官翌年の発行である。いずれのテーマも、科学書ではなくて、いわば「生き方本」というか「人生指南読本」であろう。読みながら、感想を少し書いていきたい。

 両方の本を交互に併行して読んでいる。(2)「自分を休ませる練習」の、第一章 やわらかなこころを取り戻すの、という項目で実にいい言葉を見つけた。その項目は、<「美しい所作」は、心とからだにいい>という表題で纏めてある。
 私は40歳の時に、合気道にめぐりあい、その時から35年わたり稽古を続けている。あるとき、私の指導うけているE師範が合気道に魅せられた理由として、「翁先生(合気道の開祖植芝盛平さんのこと)の歩き方の美しさ」に魅了されたから」と述べていたのを想い起した。これと一脈通ずるのだが、矢作さんがこう書いている。

<残心、という言葉をごぞんじでしょうか? 弓道、剣道、柔道などの武道、さらに伝統芸能の世界もよく使われる言葉です。意味としては、「それを終えた後、力をゆるめる、あるいはくつろぎながらも、まだしっかりち注意を払っている状態」えです。気持ちが途切れていない状態、ともいえるでしょうか。>
 まさに、武道、合気道の神髄を言い当てているので驚いた。この言葉はこう続く。

<日常生活でも、残心を生かしてみたらいかがでしょう。ドアや襖は、静かに最後まで閉める。湯飲み、コップ、食器は、静かに置く。静かに歩く。無用な音を立てない。

 かの内村鑑三は、人生の目的は人間としての品性の確立を求めることであると、言ったとか。何処かで読んだことがある。身につまされる先人の言葉である。