<芽吹きたる樹も焼かれおりウクライナ(西尾市 水野啓子)>小林貴子選:
<武蔵野の朧月夜のごと老いぬ(三郷市 岡崎正宏)>長谷川櫂選⇒「朧月夜のごと」ってどういう比喩だろう。ぼんやり霞んで光の薄い春の月を朧月というんだという。
<散る覚悟なんていらない桜散る(厚木市 奈良 握)>大串 章選:
<植物の魔法の如く伸びて春(山梨県市川三郷町 笠井 彰)高山れおな選⇒「素朴だが実感のある比喩が愉快」と高山さんがコメントしている。
俳句の切りとりは、はっきりとクッキリとして気持ちがいい言葉の芸だと思う。
次に、歌壇に移る。
<火柱のロシアの戦車に溜飲が下がるそこにも人がいるのに(観音寺市 篠原俊則)>永田和宏選: 「一方的にロシア軍、その兵士らを悪と決めつけてはその本質はみえてこない。」と選者の永田さん。「溜飲が下がる」とは、気持ちがスッキリする、ロシア軍よいい気味だとおもってしまうが、ロシア軍の兵士も同じ人間という意味だろう。実は、戦争に「善」はないはずだ。
<ウクライナ攻撃止まずわが郷は罪の如くに春深まる(亀岡市 俣野右内)>馬場あき子選⇒
<動物がおびえていいると園長は戦火の中に留まるという(前橋市 萩原葉月)>佐佐木幸綱選:
<攻められて焦土広がるウクライナいま人びとはムンクの「叫び」(横須賀市 矢田紀子)>
<美しき草色萌ゆるライ麦はいつか黄金の波になりゆけ(国分寺市 小山佐和子)>⇒高野公彦選:〔戦争が終わって農作物が順調に育ち、豊かに稔ることを願う歌。各区の頭に、「う・く・ら・い・な」を置いた折句。〕と、選者の高野さんのコメントを読むまで気が付かなかった。
<新しいスーツパンプス定期入れ通学が通勤になる春(富山市 松田梨子)>馬場あき子、高野公彦共選: 松田さん、もう社会人なんだね。
今週の歌壇も、ウクライナの戦争を詠んだのが多かった。