毎週意識して朝日歌壇と俳壇を読んでいる。長い間読んでいると、どんな歌や俳句が入選するのかが分かって来た。俳句も短歌も時代を切り取りかつその時代に生きる人の[の表現であると分かった。あたりまえだね。
〈 戦争がテレビに映る子どもの日 (石川県能登町 瀧上裕幸 〉➡️長谷川櫂選
〈母の日も戦争 容赦なく続く(小松市 太田太右衛門)〉➡️長谷川櫂、大串章選:
〈あやまちをまたくりかへし春逝けり(名古屋市 池内真純)〉➡️高山れおな選;
〈草笛の何を吹くとも悲歌のごと(柏市 物江里人)〉➡️小林貴子選;
コメント;ウクライナの戦争が母の日にも続いていた。
歌壇に移ると、鬼型輝雄君が、先々週に続いて入選していた。
〈五合の飯わっぱにつめひょうひょうと獣道行く五月の山師(安中市 鬼型輝雄)〉➡️馬場あき子選
コメント:鬼型君はどういうふうにこの歌を詠んだのだろう。安中は「山師」がいるほど奥深い山ではないと思うのだが。「わっぱ」と言えば、「わっぱめし」の新潟だろうし、「ひょうひょうと」という比喩が面白い。しかし、もう一つピンとこないのだが。
〈病とて短歌ばかりは奪えまじ飛行機雲の白のまばゆし(和泉市 長尾幹也)〉➡️馬場あき子選: 長尾さんは闘病歌人だ。
〈戦争は話題にならず静かなる事務所に響くコピー機の音(北名古屋市 月城龍二)〉➡️佐々木幸綱、永田和宏共選;
コメント:「戦争が話題にもならない職場への違和感」と選者の永田さんが選評しているが、この読みは違うのではないかとないか、私は思う。作者の月城さんは、「ウクライナの戦争の中」を詠んだのでは?
〈爆音のとどろく街のアカペラの女性兵士の清き歌声(観音寺市 篠原俊則)〉➡️ 高野公彦選:
〈封筒の厚さと重さが君からの最後の手紙と教えてくれた(観音寺市 篠原俊則)〉➡️永田和宏選:
コメント:篠原さんは教師で、もう60歳代の方のようだ。この歌は随分昔の想い出を歌っているのではと思う。