TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

気になる本『統合失調症の一族 遺伝か、環境か』 ロバート・コルカー著(柴田裕之訳、早川書房 3,740円)のこと

 早川書房は思い切って変わった本を出版する出版社だと思う。大昔、詩人の何とかさん(名前を忘れた、田村隆一さん)が勤務していたと思う。
 標記の本は、かなりマイナーでで読者は限られているんではにか?医学書なんだろうか、一般啓蒙書なんだろうか?統合失調症といえば、最近まで「精神分裂病」と日本では呼ばれていた。どちらの呼称にせよ、精神というかこころの病のことだ。著者のコルカー(Robert Koklker)さんは、米国のジャーナリストで作家だという。「ニューヨーク・マガジン」などの雑誌に執筆しているというので、当事者ではなく作家のようだ。

<1944年に結婚したドン・ギャルビンとミミ夫妻の間には、12人の子どもが生まれた。一家は騒がしくも愛すべきファミリーであったが、やがて彼らのうち半数が統合失調症と診断される。この病気に医療ができることはまだ限られた時代だった。そして世間には、統合失調症に対する無知と偏見があり、いきなり裸になったり、自分をポール・マッカートニーだと思い込んだりする人間に決して優しくはなかった。>

 これは、著者のコルカーさんが、ギャルビン一家に密着取材してまとめた本のようだ。

<どんな家族にも闇があり、秘密があると思うが、ギャルビン家の秘密はあまりにも苛烈だ。・・・・・ギャルビン一家のえ歴史を振り返りながら、一方で、医学の研究者たちがどのような苦難を乗り越えてきたか、そして、統合失調症の調査に適した「同じおおもとの遺伝的成分をさまざま組み合わせで持っている家族」=ギャルビン家を発見したことで、どれほどの知見を得たかについいても書かれている。>

 この本は、朝日新聞朝刊(2022年11月5日)の書評欄で読んだ。評者のトミヤマユキコさん(東北芸術工科大学准教授)が、「苦難の先に救いがあって、本当によかった。」と、紹介文を結んでいる。どんな、「救いがあった」んだろうか?思わせぶりな結びに、読みたいという気持ちをそそられた。

 ところで、第44回生物学的精神医学会年会が、2022年11月4日~6日(本日)まで、東京の都市センターホールほかで開かれた。会長は加藤忠史さん(順天堂大学医学部・精神医学)だ。
 生物学的精神医学は、英語ではBiological Psychiatryといい、基本的には、精神疾患を「脳の病気」と捉えることにより、脳に何が起きているのかを生物学的な視点から解明しようとする考えかたである。