TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

朝日歌壇と俳壇を読む―世相を詠む、生きる淋しさを詠む・・・

<「青空」や「小鳥」を習う子らがいて秋の陽のさす習字教室(丸亀市 金倉薫)>
<攻めること「軍事作戦」などと言い攻めらるること「テロ」と言い張る(観音寺市 篠原俊則)>⇒ 永田和宏選:
 四国地域から選ばれた二首を引いた。篠原さん、もうウクライナの歌はいいよ。

<けがをしたつるとかめがいた場合つるかめ算はどうなるのかな(奈良市 山添聡介)>⇒永田和宏、馬場あき子共選:
 山添君が小学生歌人だから選ばれるのかな? つまらん歌だ。

<あごひげを伸ばしてみたら真っ白で浦島太郎と孫が喜ぶ(宮崎市 太田博之)>
<修理から戻る愛車はパッチリと目を開け探す私のことを(富山市 松田梨子)>
⇒ 佐々木幸綱選:

<運動会の練習二時間あった日の体操服の白ぞ重たき(奈良市 山添聖子)>
⇒高野公彦選:
<毛虫見たらキャーッと言わずにこんいちわは草刈りのアルバイト三日目(富山市 松田わこ)>⇒ 高野公彦、馬場あきこ子共選:

<駱駝、猫、蛙、飛蝗のポーズしてヒト科以外になるヨガ時間(取手市 近藤美恵子)>⇒ 馬場あき子、佐佐木幸綱共選:

 今週も、常連の入選者の歌が目に光った。やはり富山市の松田さん姉妹、奈良の山添さん親子、観音寺市の篠原さんの歌をひいてしまった。
 それにしても、あんまり心に響く歌がない。そう思って歌壇と俳壇の間のコラム「うたをよむ 情報社会で心を動かす」というのを歌人の澤村斉美という方が書いていた。読んでみた。

いらくさが 濺ぎし血かと わけいりて 見し草むらの 撫子の花(森鴎外『うた日記』
 日露戦争で軍医として従軍した鷗外の一首。兵士らの血かと思って草むらに分け入って見れば赤い撫子の花であった。戦場にあってちいさな美しいものに心と言葉が動く。人の心と言葉とは、かくも自由でいられるのだ。息詰まる情報社会においても、きっと自由に。
 鷗外のうたの、きびしい歌い方が心に響く。ともあれ、毎週のように入選する歌人たちは、うたによって力ずよく生きていることがわかる。

 次に俳壇を読む。
無花果の爛れてすでに蜂のもの奈良市 坂上元)>
<その上に富士その上に秋の雲(北本市 萩原行博)>
⇒2句とも、長谷川櫂選:

<抱え込む一人の地獄天高し(船橋市 斉木直哉)>
<思ひでは埋火のごと八十路かな(岡崎市 米津勇美)>
⇒2句とも、大串 章選:

 俳句は人生と情景を切り取るので面白い。奈良市坂上さんの詠んだ「無花果」の句の情景は目に浮かぶ。甘い無花果の果汁を慕って蜂が飛んできているのだ。

 追加として、気になる本『瓢箪から人生』(夏井いつき、小学館)の広告がでていた。65歳、山あり谷ありの人生と俳句への熱い思いを綴った傑作エッセイなんだって。