TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『蒲団』(田山花袋)を読んだーこれニッポンの小説なんだ

 『劇的な精神分析入門』(北山修)」さんが、「Ⅶ 劇としての人生」のなかで、田山花袋の『蒲団』に言及していた。触発されて、『蒲団』を稲城図書館で借りてきた。昨日から読み始めて読み終えた。田山花袋の36歳の作品である。自然主義文学の画期的な作品である。自伝的なというか、赤裸々にというか、主人公の作家が心情を吐露したものである。最終の場面、去って行った芳子の夜具(蒲団の襟元の汗の匂い)を嗅ぎながら涙を流す場面は、いまでは、「なにこれ」というような感じすらする。田山花袋は舘林(当時は栃木県、今は群馬県)で生まれて59歳で亡くなっている。父親が江戸末期というか明治維新西南戦争で熊本で戦死している。『蒲団』でかかれていることは、瀬戸内寂聴さんの小説や行動と比較する、「やっぱり明治なんだ」という気がする。それにしても、『蒲団』の一方の主人公(ヒロイン)である芳子も何なんだろう。良家というか、しっかりした家のお嬢さんなのである。ともあれ、高橋源一郎さん的に言えば、『蒲団』は「ニッポンの小説」の草分け的な存在になる。田山花袋に興味を持ったので、『田舎教師』を図書館にリクエストした。