<またの世も家族にならん草の花(春日部市 池田桐人)>長谷川櫂選
⇒この夫婦と子どもたちでまた家族になりたい」と選者がコメントして一席に。
<鉛筆で冬の気持ちを語るなり(神戸市 豊原清明)>⇒高山れおな選:
⇒「軽くて乾いた鉛筆と」「冬の気持ち」がフィット」と、高山さんがコメントしている。同じく句を、小林貴子さんも選んでいる。
<鰯雲ベッドの母を泳がせよ(岡山市 大石洋子)>⇒大串 章さんの一席だ。
俳句のほうが、歌よりも乾いた筆致で人生を切り取るように思う。
次に歌壇を読んでみた。
<夢なのに母さんなんで惚けてる髪なで背をなで手の平なでる(大和高田市 森村喜和子)>⇒馬場あき子選:「「なでる」という言葉の繰返しが限りない愛を感じさせ夢以上だ。」と選者の馬場さんがコメントしている。
<掛け売り帳ありし頃には買い物に言葉があった人間がいた(観音寺市 篠原敏則)>⇒馬場あき子、佐々木幸綱共選:
篠原さん、ウクライナとロシアの戦争の歌よりも、こういう日常の歌が上手い。
<「OL」や「アフターファイヴ」今私は使わない母の時代の言葉(富山市 松田梨子)>⇒佐々木幸綱選:
<ほろほろと零余子(むかご)こぼるる与謝峠丹後の里の秋は駆け足(東大阪市 池中健一)>⇒ 佐々木幸綱、永田和宏共選:
池中さんの歌が心に響いた。「ほろほろと」という形容が零余子にかかるなんて信じられない。零余子は摘み取るので、自然には零れないのだと思うのだが・・。
<「侵攻に後悔はない」戦場に行かなくていいプーチンが言う(観音寺市 篠原敏則)>⇒高野公彦選:
篠原さん、やはり、ロシアの戦争を詠っていた。
<手を当てず大あくびして草原のライオンの自由と孤独知る(富山市 松田わこ)>⇒永田和宏選:
松田わこさん、ライオンの孤独より自分の孤独を詠う歳頃になってきたんだ・・・。
<幸せと感じたこともあったわね遠い昔の男(ひと)との暮らし(仙台市 小林京子)>⇒永田和宏選:
今週も常連の方の歌がよかったね。太字の歌が心に響いた。