TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

『小さな時計台が語る小さな町の物語』(君和田 怜著)を読んだー私たちは「それぞれの物語」を生きる!

 『小さな時計台が語る小さな町の物語』(君和田 怜著)を読んだー私たちは「それぞれの物語」を生きる!

  畏友の一人TH君がこの12月に小説を出版すると言ってきた。ペンネームが「君和田怜」。刊行する前からアマゾンの購入予約人数で上位を競っている。本当かしら?「眉唾」とも思ったが本人が言うのだからそうなんだろう。早速、私はアマゾンに予約注文した。
 ペンネームの由来を尋ねた。「Who are you?」というメール返信がきた。「俺が訊ねているのにそれはないだろう? 俺の名前をわすれたのか、失礼な?」と思った。途端にわかった。「Got it !」と返した。
 TH君が小説を書いたと聞いた時、その舞台は彼がかつて住んでいた京急横須賀だと勝手に思っていた。ところが、『小さな時計台が語る小さな町の物語』の舞台は、JR桜小町駅なんだという。これは架空の駅なんだが、実はJR南武線宿河原がモデルではと推察される。近くに登坂駅(つまり、小田急登戸駅)があり、藤子不二雄ミュージアムも近いのだから、川崎市多摩川沿いが舞台だろうと。

 <小さな駅の小さな時計台に設置された古いからくり時計の「私」。正確に時を刻みながら、改札や駅前広場を通りゆく人々を観察している。・・・。不器用に、しかし懸命に生きる住人たちの織りなす13人13様のストーリー。>
「この愛すべき人々を私は見守りつづけたい」と語るのが、桜小町駅に設置された時計台たる「私」である。すなわち、この小さな町に生まれて育ってきた作者のTH君に他ならない。私たちは誰もが実は自らの「それぞれの物語」を生きるのである。ここで紹介された13の物語の主人公たちは、作者の幼友達であったり、近所の知人であったり、あるいは作者自身の分身と思われる。「小さな時計台」の目を借りて、自らの過ぎ越し日々を、去って行った父や母や知人たちとの出会いと過ぎ越し日々を、作者はときに冷めてはいるが優しい語りで物語る。
 私たちは誰もが自らの「それぞれの物語」を生きる。本書をよみながら、私たちは生きることに何かの意味をもとめるのではなく、あるがままでよいから、ちょっと周りに優しくもう少し生きてみたいと気がつく。牧歌社刊、1540円。