TomyDaddyのブログ

毎日の健康管理の記録、新聞、雑誌、書籍等の読書について感想を書いていく。

映画『あちらにいる鬼』(原作:井上荒野)を満を持してみてきたので感想まで

 2年くらい前に『あちらにいる鬼』を読んだ。この本が出たときにモデルの瀬戸内寂聴(晴美)は健在であった。この小説を読んだモデルの寂聴さんは「よく書けている」と褒めたという。

 「作者の父 井上光晴と、私の不倫が始まったとき、作者は五歳だった」と寂聴さんが言ったとか。小説は作家の長内みはる(つまり瀬戸内はるみ)と作家の白木篤郎(つまり井上光晴)の妻のしょう子の手記を交互に書いた形式をとっていた。作者の井上荒野直木賞作家となっているが、何時なんで受賞したんだろうか?(後で調べてんみる)。

  井上光晴は、私が大学生になった1966年当時は人気作家であったと思う。新しい時代のプロレタリア作家というような捉え方で、難しい長い小説をたくさん出版した。『虚構のクレーン』とか、『○〇   』とか、新潮社から出た2巻本の本が今も書棚に並んでいる。全共闘闘争や三島由紀夫の自決とか1970年代の状況にマッチした作家だった。不覚にも一読者の私は、瀬戸内晴美との不倫なんて知らなかった。『小説の書き方』という一般向けの啓蒙書的な本も書いていた。その本も買って読んだ。

 さて、映画は秀逸であった。豊川悦司寺島しのぶの演技が素晴らしかった。広末涼子も一皮むけた叔母さんになっていた。「抱かれたい男」ナンバーワンとかの豊川悦司はやはり、男のセクシーを体現しているんだろう。まあ、見てよかった映画だ。男女の仲は食えないし、くだらないし、人間て変だねーと感じた。生きるって、だから面白く切ないか?