俳句のほうが、からっと世相と自分を切り取る感じがする。一方、歌壇の方は、暗い世相に引っ張られているように思う。そこで、今週は、俳壇からよむ。
<なにもかも捨てし枯木に希望あり(東京都 無京水彦)>⇒大串 章選:
<住所氏名年齢不詳雪女郎(仙台市 鎌田塊)>⇒高山れおな選:「雪女郎は近世初頭からある季語だが、現代になって人気はいや増すばかり」と選者のコメントあり。へえ、そうなんだ。季語集を見てみたい。
<免許返し車庫に並べる冬菫(豊中市 渡辺吾郎)>⇒小林貴子選:
俳句って、たった「575」なんだが、なかなか詠めない。こういう俳句が、高山れおなさんから選ばれていた。これって、俳句なんだろうか?これでいいのか?
<むかしなかよしの仔ねこがいたんだよ(新潟弥彦村 熊木和仁)>
これが俳句として選ばれるのか、分からない。<むかしなかよしの仔いぬがいたんだよ>でもいいんだね。二番煎じはだめだね。
次に、歌壇に移ろう。
<叶えたい夢のリストを書き記す50代の母20代のわれ(富山市 松田和子)>
<高層のビルの無ければ街並みの何故か懐かし倫敦に来て(川越市 吉川清子)>⇒馬場あき子選:
<宗教の代わりに酒があるんだと言ふ人もゐて路地裏酒場(東京都 加藤将史)>⇒佐佐木幸綱選:
<「平和への貢献」と言いバイデンは防衛強化の日本を褒める(観音寺市 篠原俊則)>
<祖父宅で合宿みっちり二日間祖母にスマホのトリセツコーチ(富山市 松田わこ)⇒高野公彦選:
<さびしさが心の奥に下りてくる中禅寺湖の濃霧のやうに(東京都 山下征治)>
<初めてのみどりご妻より受くるごとメッシはワールドカップを抱けり(観音寺市 篠原俊則)⇒ 永田和宏選:
今週も常連の入選者が多かった。下の、十亀さんの歌を佐々木幸綱さんが選んでいた。いい歌だね。
<図書館のリサイクル棚にミャンマーの抵抗の詩あり抱きて帰る(東京都 十亀弘史)>
皆さん、歌を詠んで強くいきている。