TomyDaddyのブログ

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「私のC型肝炎物語」第5章:MSD社の治験に参加―(1 )二重盲検試験:運命の電話

(1)「私のC型肝炎物語」 第5章: MSD社の治験に参加― 二重盲検試験: 運命の電話

 

(承前)

第4章では、経過観察に終始した2006年~2015年、治療という面では空白の9年間を振り返った。この9年間は顧みれば私の仕事生活の総仕上げの時期でもあった。

完全退職して2年目、当時、インターフェロンに代わる新しい飲み薬が相次いで開発途上であった。本章では、インターフェロンフリーの治験薬(飲み薬)の服薬経過について詳述する。

■運命の電話■

  • 2015年3月16日(月):

主治医の浅岡先生(東大病院・消化器内科)から電話があったのは、2015年3月16日(月)の午前中だった。

「Ⅽ型肝炎(HCV)の治験予定があるが、参加意思はあるか?」 インターフェロンフリーの飲み薬で、今年(2015年)9月頃に承認予定の薬の次々候補の「治験」予定がある。プラシーボ(偽薬)も入れた「二重盲検試験」とのことだった。二重盲検試験の意味も知っていたので直ぐに参加の意思を伝えた。

「近いうちに来院できるか」と尋ねられた。翌日、(3月17日)昼の受診を約束した。今から考えると、2015年9月承認予定の薬が「ハーボニー」だった。この段階では知る由もないことだった。

■治験とは何か?■

「治験」の意味について、ここで私の知識をまとめておきたい。新しい薬の人に対する有効性や安全性について調べることを「臨床試験」という。その中でも、厚生労働省から「くすり」として認めてもらうために行われる試験のことを「治験」という。「治験」は三つの段階(第Ⅰ相、第Ⅱ相、第Ⅲ)に分けて進められる。第Ⅰ相は健康な人、第Ⅱ相は少数の患者が対象だ。今回、私が参加するのは、Ⅽ型肝炎に対する新薬の第Ⅲ相試験だ。これまでに得られた結果でみられた「くすり候補」の効き目(有効性)、副作用(安全性)が、多数の患者にも妥当かどうかの最終確認となる。

■MK-5172/MK-8742の二重盲検試験

治験はMSD(メルク・シャープ・ドーム)社が開発しているC型肝炎の治療薬の第Ⅲ相試験であった。治験に際して配布された『説明文書・同意文書』の表題は、「Ⅽ型慢性肝炎に対するMK-5172/NK-8742の安全性及び有効性を検討するプラセボ対照、無作為化、多施設共同、二重盲検試験」というものだった。

■治験の具体的な説明を受ける■

  • 2015年3月17日(火):

若葉台駅11時30分発の京王線電車に乗って本郷へ向かった。12時40分頃に東大病院に着いた。指定された東大病院2階「治験相談室」(25番)に行った。そこで浅岡先生から治験の概要についての説明を受けた。参加の意思は固めてきたので、即、参加の意思を表明した。そこからは治験コーディネータの永井さん(女性担当者)から具体的な説明を受けて、「説明書と同意書」に署名した。このあと採血して、超音波検査、心電図をとり終了した。

治験コーディネータとは

治験コーディネータとは、英語では「Clinical Research Cordinator: CRC」という職種である。医療機関で治験責任医師のもとで治験の進行をサポートする。この折に私の担当となった二人のCRC(永井さんと中門さん)、テキパキと対応が素早い若い知的な女性であった。

私の治験服薬期間は12週(84日)間だった、服薬開始4月7日(火)、最終服薬日6月29日(月)と決められた。服薬終了4週後(7月27日)、12週後(9月21日)、24週後(12月14日)に、それぞれ採血と検査とが定められた。

この折の治験に最後まで私は参加した。服薬開始3週目に効果がでた。AST、ALT、γ-GTPは基準値以内に収まった。さらにウイルスも「ケンシュツセズ」が、開始4週目から終了時まで続いた。しかし、服薬終了後4週目に不幸にも「再燃」と言う結果に終わった。この治験体験を本章では経時的に記録する。

(2018.10.26)

(私のC型肝炎物語」 第5章: MSD社の治験に参加―〔1〕 二重盲検試験: 運命の電話)